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1章

17話

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「クレアさんのサイズはここで測っておきましょう。綺麗なドレスを作るには大切ですから」

「あー、うん。よく分からないから全部任せた」

 腐っても男性なだけあってクレアはドレスには全く興味が無いのか、私に全て丸投げするような言葉を放った。

 だがその言葉は私に一番言ってはいけない言葉だ。
 その言葉は私の中の欲望を解放してしまう。
 どんなドレスにしよう。クレアは脚が長くて綺麗なので、それを活かすようなデザインにしたい。
 胸元はあまり強調せず、平らでも綺麗に見えるようにして……。
 私が頭の中で妄想を広げているとクレアの採寸が終わったようで、衝立の向こうから出てくる。

「女性じゃ無いのになんでこんなに綺麗なんですか……」

「くびれまであったし……」

 採寸した女性デザイナーたちがショックを受けたような顔になった。
 ずるい何それ。私も見たかった。
 くびれ、というワードに気を取られながらなんとか私は話に意識を戻す。

「私の希望としてはクレアさんのドレスに──」

 私はデザイナーにクレアのドレスをどんなものにして欲しいか、という要望を説明していく。
 デザイナーは私の要望をメモ用紙にまとめると、設計図にデザインを描き起こしていく。
 普通のデザイナーは持ち返って考えてくるのだろうが、私の商会のデザイナーは一味違う。その場でデザインすることが出来るのだ。
 このやり方は直に客の要望を聞きながら修正していけるので、とても評判がいい。
 ホワイトローズ商会がドレスを大量に受注できるのもこれが理由の一つだ。

「出来ました。これはどうですか? 今回はモデルがいいので私も興が乗りました! 今回は自信作です……!」

 私は出来たデザイン案を見る。
 自信作というだけあって、とてもいい。それに私の要望であった脚も見えている。

「うん。とてもいいですね。クレアさんはどう思いますか?」

 隣で興味なさそうにしているクレアにデザイン案を見せる。

「これでいい」

 特に拘ることは無いようでクレアは頷いた。

「ではこれを元にドレスを作らせていただきます」

 私はクレアの気が変わらないうちにデザイン案を鞄に直す。
 そして同時に心の中でガッツポーズをした。
 これでパーティーでは私の好きを詰め込んだ最高のクレアを見ることが出来る。

「なんな邪悪な笑みが溢れてるぞ」

「ハッ……! コホン」

 私は咳払いをして誤魔化す。
 幸いにもクレアは私の考えに気づいた様子は無かった。
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