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4話
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私は驚いた。
国王が頭を下げるとは思っていなかった。
「クリスのしたことは私の責任だ。本当に申し訳ないと思っている」
「国王様の指示では無いのですか……?」
父が国王に問いかける。
国王は首肯した。
「ああ、私は一切命令していない。クリスのしたことは王家の意思ではない」
私たちは安心した。
あり得ないと分かってはいたが、もしこれが王家の意向だったならば、どうなっていたか分からない。
「しかし、クリスの独断専行も私の教育不足のせいだ。あんな公の場で冤罪を着せたうえに婚約破棄するなと……本当に申し訳ない」
国王は思い詰めたような表情をして、また頭を下げた。
「償いとして、バートン家の要求をできる限り受け入れよう。私にできることがあれば何でも相談して欲しい」
「本当ですか! それは助かります!」
これから冤罪を晴らすためには国王の協力は必要不可欠だったので、その協力を取り付けることが出来て私たちは感激した。
「それでは、用意して欲しいものがあるのです」
「それは何だ?」
「それは──」
私はとあるものを“お願い”した。
「分かった。いずれ作るつもりだったが、今すぐに作ろう」
「ありがとうございます」
国王は了承し、すぐにお願いしたものは作られた。
◯
王宮から屋敷へ帰った後、私たちはすぐに行動へ移した。
まずは私が復讐するのは、陥れられる原因となった、証人をした平民の生徒たち。
顔は全て覚えている。
私は即座に特定を進めた。
学園の名簿を見て、名前、住所など、個人情報を全て把握していく。
「別に今までクリスとの関係は無かった。きっと金か何かで命令されたのでしょうね……」
しかし、そうだとしても私は一切復讐に手を抜くつもりはない。
金に目が眩んで一人の人生を台無しにしようとした罪は消えないし、許すつもりもない。
彼らにとっては軽はずみな行動だったのかもしれないが、それが公爵家そのものを敵に回すことだと気づいていたはず。
だから私は手心を加えるつもりは無い。
自分のしたことは自分で責任を取るべきだ。
「さて……」
私は椅子から立ち上がる。
復讐開始だ。
国王が頭を下げるとは思っていなかった。
「クリスのしたことは私の責任だ。本当に申し訳ないと思っている」
「国王様の指示では無いのですか……?」
父が国王に問いかける。
国王は首肯した。
「ああ、私は一切命令していない。クリスのしたことは王家の意思ではない」
私たちは安心した。
あり得ないと分かってはいたが、もしこれが王家の意向だったならば、どうなっていたか分からない。
「しかし、クリスの独断専行も私の教育不足のせいだ。あんな公の場で冤罪を着せたうえに婚約破棄するなと……本当に申し訳ない」
国王は思い詰めたような表情をして、また頭を下げた。
「償いとして、バートン家の要求をできる限り受け入れよう。私にできることがあれば何でも相談して欲しい」
「本当ですか! それは助かります!」
これから冤罪を晴らすためには国王の協力は必要不可欠だったので、その協力を取り付けることが出来て私たちは感激した。
「それでは、用意して欲しいものがあるのです」
「それは何だ?」
「それは──」
私はとあるものを“お願い”した。
「分かった。いずれ作るつもりだったが、今すぐに作ろう」
「ありがとうございます」
国王は了承し、すぐにお願いしたものは作られた。
◯
王宮から屋敷へ帰った後、私たちはすぐに行動へ移した。
まずは私が復讐するのは、陥れられる原因となった、証人をした平民の生徒たち。
顔は全て覚えている。
私は即座に特定を進めた。
学園の名簿を見て、名前、住所など、個人情報を全て把握していく。
「別に今までクリスとの関係は無かった。きっと金か何かで命令されたのでしょうね……」
しかし、そうだとしても私は一切復讐に手を抜くつもりはない。
金に目が眩んで一人の人生を台無しにしようとした罪は消えないし、許すつもりもない。
彼らにとっては軽はずみな行動だったのかもしれないが、それが公爵家そのものを敵に回すことだと気づいていたはず。
だから私は手心を加えるつもりは無い。
自分のしたことは自分で責任を取るべきだ。
「さて……」
私は椅子から立ち上がる。
復讐開始だ。
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