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1話
しおりを挟む私の名前はサラ・ウィルキンソン。伯爵令嬢だ。
私には両親と二人の兄がいる。
家族四人の仲はとても良かった。
しかし四人とも、私のことを嫌っていた。
彼らはよく外食をするのだが、私はそれに同行しない。
なぜなら、ついていこうとするとあからさまに嫌がられるのだ。
加えて彼らは家でパーティーをよく開く。
しかし私は「絶対に人前に出てくるな。家の評判が下がる」と言われ参加すらさせてもらえない。
なぜそんなにも嫌われているのかというと、私が毎日ずっと自分の部屋にこもっているからだ。
まぁそれには理由があってそうしているのだが、四人とも知らないので、私をただの引きこもりだと思っているらしい。
別に知らせる義務も義理もある訳ではない。
理由を伝えたところで彼らは意固地になって、私への態度を変えることはないだろう。
そのため私は引きこもりという無実のレッテルを貼られながらも我慢して暮らしていた。
しかしある日のこと。
私はいつも通り部屋で用事をこなしていた。
すると突然、部屋の扉が開かれた。
そして家族四人がゾロゾロと部屋へ入ってくる。
父であるジェームズが顔をしかめた。
「相変わらず辛気臭い部屋だ」
「ええ、本当。まぁ、引きこもりの娘にはお似合いですが」
母のドロシーがそう言うと四人はどっと笑った。
こんな憎まれ口なので私はさらりと受け流す。
「それで、何のようですか? 用がないなら出ていってほしいのですが」
「あぁ? 用事なんてきまってるだろ?」
「んなことも分かんねぇのかよ。相変わらずバカだな、お前」
長男のトムと次男のマイケルがバカにしたように笑いながらそう言った。
「サラ、無能なお前を家から追放するんだよ」
「……は?」
私は何を言われたのか分からなかった。
何故私が追放されなければならないのだろう。
「お前のような穀潰しは家に置くだけでも気分が悪くなるからな。害虫駆除だ、さっさと出ていけ」
「おっとこれは当主の命令だからな? 拒否なんかできねぇぞ?」
「オラ! さっさと出てけよこの引きこもりのクズが!」
マイケルが脅しとして私の机を強く蹴った。
「……本当にいいんですね?」
私はため息を吐きながら確認した。
「もちろん。お前なんかいても邪魔なだけだからな」
ジェームズがその太った腹をさすりながら答える。
私はそこで、完全にこの家族を見捨てることにした。
「そうですか。それでは私は失礼します」
私は椅子から立ち上がり、颯爽と部屋から出ていった。
四人はあっさりとしたその様子に唖然としていた。
もしかして私が醜く「追い出さないで!」と懇願すると思ったのだろうか。
まさか。
そんなことをする訳がない。
なぜなら。
私はこの家の財産。
当主の座。
土地。
商会。
その全てを所有しているからだ。
「私を追い出すなら、覚悟しておいてくださいね?」
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