5 / 5
5話
しおりを挟む
「そ、そんなの嘘よ!」
「そうよ! あり得ないわ!」
「はい、これ国王様の念書です。ここにサインと王印もあります」
私はマーティとルーシーに「マーティ及びルーシーを地下牢へ永久に繋ぐことを許可する」という内容が書かれている念書を見せる。
流石の二人も国王のサインと王印は知っているようで、本物であることを理解しているようだった。
「何これ……」
「あなた達は王宮で好き放題しすぎたんですよ。浪費に暴言に……王族としての評判をここまで落としたんですから、地下牢へ追放されるのも当然ですね」
私はケラケラと笑う。
「嘘よ! そんなの嘘! アルバートに助けて貰わなきゃ……」
「無理ですよ。あなた達を地下牢へ繋ぐことを提案したのは、アルバート様なんですから」
「へ……」
マーティの目が驚愕に見開かれる。
「正確には、あなた達をどうにかして欲しい、と頼まれたんですけどね。私は“寄付金”を持ってあなた達の幽閉を国王様に提案しました」
アルバートは自ら「マーティとルーシーを何とかしてほしい」と頼みに来た。
どうやら二人が王宮でやりたい放題をした結果、アルバートは王宮で孤立してしまったようだった。
そこで別に見放しても良かったのだが、前に婚約破棄してもらった恩があるので、私はどうにかしてあげることにした。
父の弱点を言いふらさないように地下牢に閉じ込めることも出来るので、一石二鳥だ。
そしてアルバートは私が手伝う代わりに、ホーリー公爵家へ忖度するという条件をつけた。
こうして、全ては丸く収まったのだ。
「というわけで、今から地下牢へ幽閉しますね。大丈夫、王宮の地下牢だけあって、そこそこ快適だそうですよ。ま、今までみたいな生活は出来ないでしょうが」
「い、いや! 地下牢だなんてそんなの嫌!」
「なんで私がこんな仕打ちをうけるのよ!」
「なぜ? それはあなた達が私たち家族にしたことを思い出せば分かるのでは? 地下牢でたくさん考えて下さいね。それでは、さようなら」
「いやぁぁぁ!」
「助けて! 誰か!」
二人は使用人たちに強引に連れて行かれ、部屋から外へと出された。
「ふぅ、やっと平和になったわね」
私は爽やかな気持ちだった。
これから彼女たちは地下牢で永久に暮らすのだろう。
可哀想とは思わない。
全て自らの行いの結果、自業自得だからだ。
私は前を向いた。
これからは輝かしい未来が待っている。
──
励みになりますので、作品、作者のお気に入り登録をお願いします!!!!!!!!
しおりを挟む
あなたにおすすめの小説
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」
婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。
もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。
……え? いまさら何ですか? 殿下。
そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね?
もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。
だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。
これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。
※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。
他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【どうやら私は婚約者に相当嫌われているらしい】
「おい!もうお前のような女はうんざりだ!今日こそ婚約破棄させて貰うぞ!」
私は今日も婚約者の王子様から婚約破棄宣言をされる。受け入れてもいいですが…どうせなら、然るべき場所で宣言して頂けますか?
※ 他サイトでも掲載しています
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。
なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね?
【ご報告】
書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m
発売日等は現在調整中です。
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
カレイ
恋愛
婚約破棄を喰らった侯爵令嬢が、それを逆手に遠慮をやめ、思ったことをそのまま口に出していく話。
青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。
それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。
oro
恋愛
「アイリーン・ヒメネス!私は今この場で婚約を破棄する!」
王宮でのパーティにて、突然そう高らかに宣言したこの国の第1王子。
名前を呼ばれたアイリーンは、ニコリと微笑んで言った。
「あらあらそれは。おめでとうございます。」
※誤字、脱字があります。御容赦ください。
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。