義姉に婚約者を取られて一方的に婚約破棄されましたが一向に構いません。

水垣するめ

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5話

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「そ、そんなの嘘よ!」
「そうよ! あり得ないわ!」

「はい、これ国王様の念書です。ここにサインと王印もあります」

 私はマーティとルーシーに「マーティ及びルーシーを地下牢へ永久に繋ぐことを許可する」という内容が書かれている念書を見せる。

 流石の二人も国王のサインと王印は知っているようで、本物であることを理解しているようだった。

「何これ……」

「あなた達は王宮で好き放題しすぎたんですよ。浪費に暴言に……王族としての評判をここまで落としたんですから、地下牢へ追放されるのも当然ですね」

 私はケラケラと笑う。

「嘘よ! そんなの嘘! アルバートに助けて貰わなきゃ……」

「無理ですよ。あなた達を地下牢へ繋ぐことを提案したのは、アルバート様なんですから」

「へ……」

 マーティの目が驚愕に見開かれる。

「正確には、あなた達をどうにかして欲しい、と頼まれたんですけどね。私は“寄付金”を持ってあなた達の幽閉を国王様に提案しました」

 アルバートは自ら「マーティとルーシーを何とかしてほしい」と頼みに来た。
 どうやら二人が王宮でやりたい放題をした結果、アルバートは王宮で孤立してしまったようだった。

 そこで別に見放しても良かったのだが、前に婚約破棄してもらった恩があるので、私はどうにかしてあげることにした。
 父の弱点を言いふらさないように地下牢に閉じ込めることも出来るので、一石二鳥だ。

 そしてアルバートは私が手伝う代わりに、ホーリー公爵家へ忖度するという条件をつけた。

 こうして、全ては丸く収まったのだ。

「というわけで、今から地下牢へ幽閉しますね。大丈夫、王宮の地下牢だけあって、そこそこ快適だそうですよ。ま、今までみたいな生活は出来ないでしょうが」

「い、いや! 地下牢だなんてそんなの嫌!」
「なんで私がこんな仕打ちをうけるのよ!」

「なぜ? それはあなた達が私たち家族にしたことを思い出せば分かるのでは? 地下牢でたくさん考えて下さいね。それでは、さようなら」

「いやぁぁぁ!」
「助けて! 誰か!」

 二人は使用人たちに強引に連れて行かれ、部屋から外へと出された。

「ふぅ、やっと平和になったわね」

 私は爽やかな気持ちだった。
 これから彼女たちは地下牢で永久に暮らすのだろう。

 可哀想とは思わない。
 全て自らの行いの結果、自業自得だからだ。

 私は前を向いた。

 これからは輝かしい未来が待っている。





──




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みんなの感想(2件)

Conanlove
2021.12.30 Conanlove
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dragon.9
2021.12.21 dragon.9
ネタバレ含む
解除

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