えっと、先日まで留学していたのに、どうやってその方を虐めるんですか?

水垣するめ

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13話

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「い、嫌だ!」

 レイは国王の言葉を否定する。

「どうか考え直してください! 俺は死にたくない!」

 そしてレイはみっともなく国王に泣きつく。
 先程まで威勢よくローズに冤罪を着せていた人間とは思えない。

「なぁ、レイよ。お前は今まで何をして来たんだ?」

「え?」

 国王の意外な言葉にレイは顔を上げる。

「ただ王族として生きて来て、ローズのように厳しい王妃教育を受けた訳でもなく、学園では再三の注意を無視して勉学を放り投げ、挙げ句の果てには婚約者を陥れ、今まさに王家にも害を為そうとしている」

「……」

「お前がいるだけで、この国は大きな混乱に陥る。大勢の人間が死ぬかもしれない。お前が自分勝手に生きてきたせいで。そんなお前が何故このまま生きていられると思っているんだ?」

 レイは反論できなかった。
 今までぬくぬくと生きてきて、勉学にも励まず、冤罪を被せたのは事実だからだ。

「お前が最後に出来ることは断頭台へと立ち、国の平和に貢献することだけだ。それが王族としての最後の務めだ」

「そんな……っ!」

 国王の冷たい宣言にレイは涙を流す。

「こうならない為の選択肢は今まで与えてきた。それを選ばなかったのは、お前自身だ」

 国王はナタリーへと向き直る。

「さて、ナタリー。もちろんお前にも断頭台に立ってもらう。国家転覆を図った大罪人としてな」

「は、はぁっ!?」

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