上 下
13 / 21

13話

しおりを挟む

「い、嫌だ!」

 レイは国王の言葉を否定する。

「どうか考え直してください! 俺は死にたくない!」

 そしてレイはみっともなく国王に泣きつく。
 先程まで威勢よくローズに冤罪を着せていた人間とは思えない。

「なぁ、レイよ。お前は今まで何をして来たんだ?」

「え?」

 国王の意外な言葉にレイは顔を上げる。

「ただ王族として生きて来て、ローズのように厳しい王妃教育を受けた訳でもなく、学園では再三の注意を無視して勉学を放り投げ、挙げ句の果てには婚約者を陥れ、今まさに王家にも害を為そうとしている」

「……」

「お前がいるだけで、この国は大きな混乱に陥る。大勢の人間が死ぬかもしれない。お前が自分勝手に生きてきたせいで。そんなお前が何故このまま生きていられると思っているんだ?」

 レイは反論できなかった。
 今までぬくぬくと生きてきて、勉学にも励まず、冤罪を被せたのは事実だからだ。

「お前が最後に出来ることは断頭台へと立ち、国の平和に貢献することだけだ。それが王族としての最後の務めだ」

「そんな……っ!」

 国王の冷たい宣言にレイは涙を流す。

「こうならない為の選択肢は今まで与えてきた。それを選ばなかったのは、お前自身だ」

 国王はナタリーへと向き直る。

「さて、ナタリー。もちろんお前にも断頭台に立ってもらう。国家転覆を図った大罪人としてな」

「は、はぁっ!?」

しおりを挟む
感想 110

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄した王子と男爵令嬢のその後……は幸せ?……な訳ない!

たろ
恋愛
「エリザベス、君との婚約を破棄する」 「どうしてそんな事を言うのですか?わたしが何をしたと言うのでしょう」 「君は僕の愛するイライザに対して嫌がらせをしただろう、そんな意地の悪い君のことは愛せないし結婚など出来ない」 「……愛せない……わかりました。殿下……の言葉を……受け入れます」 なんで君がそんな悲しそうな顔をするんだ? この話は婚約破棄をして、父親である陛下に嘘で固めて公爵令嬢のエリザベスを貶めたと怒られて 「そんなにその男爵令嬢が好きなら王族をやめて男爵に婿に行け」と言われ、廃嫡される王子のその後のお話です。 頭脳明晰、眉目秀麗、みんなが振り向くかっこいい殿下……なのにエリザベスの前では残念な男。 ★軽い感じのお話です そして、殿下がひたすら残念です 広ーい気持ちで読んでいただけたらと思います

本当に妹のことを愛しているなら、落ちぶれた彼女に寄り添うべきなのではありませんか?

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアレシアは、婿を迎える立場であった。 しかしある日突然、彼女は婚約者から婚約破棄を告げられる。彼はアレシアの妹と関係を持っており、そちらと婚約しようとしていたのだ。 そのことについて妹を問い詰めると、彼女は伝えてきた。アレシアのことをずっと疎んでおり、婚約者も伯爵家も手に入れようとしていることを。 このまま自分が伯爵家を手に入れる。彼女はそう言いながら、アレシアのことを嘲笑っていた。 しかしながら、彼女達の父親はそれを許さなかった。 妹には伯爵家を背負う資質がないとして、断固として認めなかったのである。 それに反発した妹は、伯爵家から追放されることにになった。 それから間もなくして、元婚約者がアレシアを訪ねてきた。 彼は追放されて落ちぶれた妹のことを心配しており、支援して欲しいと申し出てきたのだ。 だが、アレシアは知っていた。彼も家で立場がなくなり、追い詰められているということを。 そもそも彼は妹にコンタクトすら取っていない。そのことに呆れながら、アレシアは彼を追い返すのであった。

婚約破棄が私を笑顔にした

夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」 学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。 そこに聖女であるアメリアがやってくる。 フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。 彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。 短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。

私が妻です!

ミカン♬
恋愛
幼い頃のトラウマで男性が怖いエルシーは夫のヴァルと結婚して2年、まだ本当の夫婦には成っていない。 王都で一人暮らす夫から連絡が途絶えて2か月、エルシーは弟のような護衛レノを連れて夫の家に向かうと、愛人と赤子と暮らしていた。失意のエルシーを狙う従兄妹のオリバーに王都でも襲われる。その時に助けてくれた侯爵夫人にお世話になってエルシーは生まれ変わろうと決心する。 侯爵家に離婚届けにサインを求めて夫がやってきた。 そこに王宮騎士団の副団長エイダンが追いかけてきて、夫の様子がおかしくなるのだった。 世界観など全てフワっと設定です。サクっと終わります。 5/23 完結に状況の説明を書き足しました。申し訳ありません。 ★★★なろう様では最後に閑話をいれています。 脱字報告、応援して下さった皆様本当に有難うございました。 他のサイトにも投稿しています。

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~

紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。 ※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。 ※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。 ※なろうにも掲載しています。

元婚約者がマウント取ってきますが、私は王子殿下と婚約しています

マルローネ
恋愛
「私は侯爵令嬢のメリナと婚約することにした! 伯爵令嬢のお前はもう必要ない!」 「そ、そんな……!」 伯爵令嬢のリディア・フォルスタは婚約者のディノス・カンブリア侯爵令息に婚約破棄されてしまった。 リディアは突然の婚約破棄に悲しむが、それを救ったのは幼馴染の王子殿下であった。 その後、ディノスとメリナの二人は、惨めに悲しんでいるリディアにマウントを取る為に接触してくるが……。

虐げられていた姉はひと月後には幸せになります~全てを奪ってきた妹やそんな妹を溺愛する両親や元婚約者には負けませんが何か?~

***あかしえ
恋愛
「どうしてお姉様はそんなひどいことを仰るの?!」 妹ベディは今日も、大きなまるい瞳に涙をためて私に喧嘩を売ってきます。 「そうだぞ、リュドミラ!君は、なぜそんな冷たいことをこんなかわいいベディに言えるんだ!」 元婚約者や家族がそうやって妹を甘やかしてきたからです。 両親は反省してくれたようですが、妹の更生には至っていません! あとひと月でこの地をはなれ結婚する私には時間がありません。 他人に迷惑をかける前に、この妹をなんとかしなくては! 「結婚!?どういうことだ!」って・・・元婚約者がうるさいのですがなにが「どういうこと」なのですか? あなたにはもう関係のない話ですが? 妹は公爵令嬢の婚約者にまで手を出している様子!ああもうっ本当に面倒ばかり!! ですが公爵令嬢様、あなたの所業もちょぉっと問題ありそうですね? 私、いろいろ調べさせていただいたんですよ? あと、人の婚約者に色目を使うのやめてもらっていいですか? ・・・××しますよ?

妹と婚約者が結婚したけど、縁を切ったから知りません

編端みどり
恋愛
妹は何でもわたくしの物を欲しがりますわ。両親、使用人、ドレス、アクセサリー、部屋、食事まで。 最後に取ったのは婚約者でした。 ありがとう妹。初めて貴方に取られてうれしいと思ったわ。

処理中です...