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7話
しおりを挟む「……書類を偽装した?」
「そうです! ローズは王家にスパイを潜り込ませ、書類を偽造し、留学したフリをしていたのです!」
レイの荒唐無稽な話を、国王は否定する。
「あり得ない。留学したという事実は他国にも存在している。証人も沢山いる」
「それすらもローズが買収をしたスパイなのです! それなら説明がつくでしょう!」
「……」
そんな事は現実的に考えて不可能なのに、レイは「これしかない!」と自信満々な様子だった。
無茶苦茶な理論を組み立てるレイに対して、国王はもはや頭を抱えていた。
そして呆れた目でレイを見る。
「……レイ。お前は自分が何を言っているのか分かっているのか?」
「え?」
レイは首を傾げる。
国王はレイへため息を吐きながら説明する。
「お前が言っているのは、公爵家に対する宣戦布告に等しいんだぞ」
「私が責めているのはローズだけですが?」
レイは国王の言葉の意味を理解していないようだった。
ますます国王の表情に落胆の色が濃くなる。
それを見てレイは拳を握りしめた。
「いいか、お前が言っているのは『ローズが王家や他国にもスパイを潜り込ませている』という内容だ。こんなもの、公爵家自体に言いがかりをつけているのと一緒だろう。──お前は内戦でも起こすつもりか?」
国王は低い声でレイに質問する。
レイはその視線と圧、そして『内戦』という言葉に押され、たじろぎながら答えた。
「そ、そんなつもりは……」
「お前がどうであれ、そう受け取られる。そんな事も分からないのか、お前は」
「……」
「話にならんな」
レイは悔しそうな表情で俯く。
「それに勘違いしているようだが」
国王は最後に付け加えた。
「国王である私が留学している、と知っているのだから、そもそもお前がどれほど作り話をしたところで無駄だぞ?」
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