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5話
しおりを挟む「はぁ……?」
反論できないのではなく、呆れて言葉が出ないだけだ。
もうレイは私の揚げ足を取って、どうにか形勢を逆転させようと必死になりすぎるあまり、自分が何を言っているのか分かっていないようだ。
「そうだ! そうなんだろう!」
最初は私に責めるような視線を向けていた周囲の生徒も、今はレイをかわいそうなものを見る目で見つめている。
「レイ様。あなたの言っていることは、もはや陰謀論です……」
「それも反論になっていないぞ! やっぱりお前はスパイを潜り込ませていたんだ! そうだろう!」
私はレイの余りにも子供っぽい振る舞いに頭痛がしてきた。
どう言ったらレイの揚げ足取りが収まるのだろうか。
その時だった。
「レイ様!」
レイの取り巻きの一人の男子生徒が、慌てた様子でやって来た。
「国王様がレイ様を呼び出しています!」
「は? 何だと……!?」
レイはまさか国王からの呼び出しがかかるとは思っていなかったのか、驚いていた。
私も同様に驚いていた。
まさかもうレイが騒動を起こしていることを聞きつけたのだろうか?
「至急王宮まで来るように、とのことです! ローズ様とナタリー様にも招集命令が届いています!」
「チッ」
レイは舌打ちをする。
「まぁいい……父上に俺の正しさを認めさせてやる。行こう、ナタリー」
レイは私を睨みつけると、ナタリーの手を引き、教室から出ていく。
「ふぅ……」
私は安堵のため息を吐いた。
レイはもうおかしくなっている。
あのまま話を続けていたら、どんな目に合うか分からなかった。
私はタイミング良く助けてくれた国王に感謝しながら教室を出て、王宮へ向かった。
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