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1話
しおりを挟む私、公爵家のローズ・ブライトには婚約者がいる。
名前はレイ・ブラウン。
レイは王家の人間で、私が幼少の頃に政略的な理由で婚約させられた。
「ローズ。ぼくたちは素敵な夫婦になろう」
「はい、レイ様!」
私とレイが婚約した当初は、こんな誓いまで立てるほどに仲が良かった。
しかし私が十歳になる頃から王妃教育が本格的に始まった。
レイとは会う時間が少なくなり、顔を合わせるのはパーティー会場だけになった。
だが私は婚約者としてレイを慕っていたし、あちらも同じだと思っていた。
しかし私達が学園に通うようになると、事態は変わってきた。
レイがとある男爵家の少女に想いを寄せるようになったのだ。
同じ年代の子供がいる学園に通ったことで、中々会えない婚約者よりも、身分の低い男爵令嬢の方が好きになったらしい。
最初の頃はレイを恨んだ。
私は顔を合わせることが出来ないくらいレイのために努力をしているのに、あちらは私のことを一切考えていなかったからだ。
レイはだんだんとその男爵令嬢と恋仲であることを隠さないようになった。
そしてついには公の場でイチャつくようになった。
加えてレイは私のことなど眼中に無いかのように振る舞うようになった。
私は確かに、レイに恋心を抱いていた。
だがこうも堂々と裏切られ、顔を会わせることも少なくなると、流石にレイへの恋心も冷めていた。
もう私はレイのことなどどうでも良くなった。
ここまでレイの為に厳しい王妃教育を我慢して、それを知っていながら浮気をする人間など、もう知らない。
だから、私は留学することにした。
外国の文化に興味が出たので、勉強するためだ。
父は私の置かれた状況を知っていたので、「羽を伸ばしてこい」と許可を出してくれた。
そして、私は半年間外国へと留学した。
厳しい王妃教育から一転して、興味のある外国の文化や政治に触れ、私は外国での生活を楽しんで帰ってきた。
しかし──。
「ローズ・ブライト! ナタリーを虐めた罪でお前との婚約は破棄する!」
学園に帰ってくるや否や、レイは私に婚約破棄を叩きつけてきた。
男爵令嬢のナタリーを虐めたという理由で。
えっと、留学していたのに、どうやって彼女を虐めたと言うのでしょうか?
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