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7話
しおりを挟むサイモンはまさか自分の幸せを否定されるとは思っていなかった。
口では何と言おうとも父なのだから、子供である自分の幸せを願っていくれていると考えていたのだ。
それが覆され、サイモンは困惑した。
「ち、父上! あなたは人として間違っている!」
サイモンの言葉に対して、国王は「ハッ!」と鼻で笑う。
「私が人として間違っていると責め立ているが、お前がアメリアに婚約破棄を迫ったことはどう説明するんだ?」
「な、何を……」
「アメリアが断れないように衆人環視の中婚約破棄を迫ったのは、人としての筋を違えていないとでも? 婚約破棄をするなら、他の場所でも良かっただろう」
「それは……」
「おまけに恥知らずにも土下座までして、周囲の同情を買い、アメリアを悪役へと仕立て上げたお前はどこが正しいんだ?」
「ち、違います。私は……」
「何も違わないだろう。お前がしたことはそういうことだ。まさかアメリアが悪役へと仕立て上げられるなんて思わなかった、なんて言い訳は通用せんぞ」
「……」
「もう一度聞こう。アメリアの想いを知っておきながらそれを踏み躙り、あまつさえ追い込んだお前は人として最低の外道となにが違う?」
サイモンは何も言い返せないことに悔しさを覚え、拳を固く握る。
「私はただ、幸せを望んだだけなのに……」
「はぁ……」
国王は心底呆れたように頭を振った。
サイモンは馬鹿にされたことが分かって、顔を真っ赤にする。
しかし次の瞬間、国王の憤怒の形相を見てサイモンは凍りついた。
「今まで王子として贅沢の限りを尽してきて、その言葉がよく言えたな……!」
「っ……!」
「お前は何の努力もしていないのに、平民よりも遥かに優れた生活を享受しておいて、そんな言い分が通じるわけないだろう!」
「人としての権利は、どんなことがあろうと無くなったりしません!」
サイモンは権利を訴える。
この期に及んでまだ自分の権利、権利と連呼するサイモンに対して、国王はとうとう愛想を尽かした。
完全に失望してしまった。
「……いいだろう。──ならば、王子の身分を剥奪してやろう」
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