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4話
しおりを挟むニックが借金を支払うと約束したあと、具体的な期間を定めることになった。
私としては出来るだけ早いほうがいいが、額は大金なので、しばらくは返済にかかるだろう。
返済が長期間に及ぶと逃げられる可能性があるが、この国の権力者二人が監視してくれるそうなので、簡単には逃げることは出来ないだろう。
「それでは、頑張ってくださいね」
私は意気消沈しながらパーティー会場から帰ろうとするニックに向かって笑顔で手を振った。
そして、ふとあることを思い出して、別れ際の挨拶にこう言った。
「ああ、そう言えば言ってしましたね。自分にはより相応しい相手がいる、と。ええ、いると思いますよ。底辺のあなたにお似合いの相手が。せいぜい地面を這いつくばって探してみてくださいね」
ニックは自分の言った言葉が跳ね返ってきて、何も言い返せないようだった。
哀愁漂う背中を見せながらニックはパーティー会場から出ていく。
「やったな」
「ええ」
それを見てサムとノエルが満足気に頷いた。
しかし、次の瞬間には表情が変わり、火花を散らし始めた。
「利害が一致したから共闘したが、これからは、正々堂々勝負だな」
「ええ、負けませんよ」
そう言って二人は好戦的な目で笑う。
さっきまで仲良くしていたと思ったら、また仲が悪くなった。
何故だ。
「あの……お二人ともなんでそんなに険悪なんですか?」
「お前のせいだ」
「あなたのせいです」
今度は息ピッタリに答える二人。
私は何がなんだか分からなかった。
「まぁ、いいか」
取り敢えずニックからは借金を取り立てる約束が出来たのだ。
これで一件落着。
そう満足して、私は二人のいがみ合いを止めに行った。
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