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3話
しおりを挟む「きっちりと今まで貸したお金は借用書を用意してありますよ」
私は一枚一枚ニックに見せていく。
合計百枚くらいあるが、ニックに全部払わせるためならそれぐらいの苦労はあって無いようなものだ。
「サインが偽物だと言うなら筆跡鑑定に出しますし、指紋が偽物だというなら、今ここで指紋を提出してもらいます。どちらもしっかりと確認してもらいましょう。ね?」
私は一歩ニックに詰め寄る。
「クソッ! 何なんだ!」
ニックは一歩後ずさりをした。
それをとある人物が止めた。
「おいおい、それはダサイぞ。しっかり借りたもんは返そうぜ?」
「そうですよ。借用書という証拠があるんですから、言い逃れは出来ないですし」
「サム様、ノエル様」
その人物は公爵家のサム・ウェードと王子のノエル・ケントだった。
どちらも学園で仲良くさせてもらっていた二人だ。
サムは黒髪と黒目で、ノエルは金髪に青い目の、いわゆるイケメンだ。
どうやら私が困っていると見て加勢に来てくれたらしい。
ただ、私が知っている二人はこんなふうに協力し合うような仲では無かったはずだ。
「借りた金は返すのが道理ってもんだよな」
「そうですね。逃げようなんてするのは男の風上にもおけません。ローラには相応しくない」
息ピッタリの二人はニックを追い詰める。
「あんなに仲悪いのに、なんで今はそんなに結託してるんですか……」
「愛のなせる業ですよ」
「愛のなせる業……?」
私は首を捻る。
なんで愛が今関係あるのだろうか。
「とにかく、支払うか、支払わないか、どっちなんだ?」
「支払わない、なんて言ったら、どうなるか分かってますよね……?」
この国の権力者である二人にそんなことを言われて頷かない人物はいるのだろうか。
「は、はい……」
ニックが怯えながら頷いた。
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