ええ、婚約破棄は構いませんが、今まで貸したお金は返してくださいね?

水垣するめ

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1話

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「お前との婚約は破棄する!」

 私、ローラ・ベネットはいきなり婚約破棄された。
 婚約者のニック・エドマンドは私に婚約破棄を叩きつけて満足そうな顔をしている。

 私は婚約者に呆れた。
 婚約破棄するにも、もっと考えて行動してくれ。
 ここは学園の卒業パーティーの場だ。
 王族も大貴族の子息たちもいるのに、パーティーの主役を奪うような真似をして良いはずが無い。

 パーティーに参加している人物全員の視線が降り注ぐ中、ニックは婚約破棄する理由を話し始めた。

「お前とは前々から婚約破棄したかったんだ。今日の卒業パーティーがいい機会だ! お前とは婚約破棄する!」

(えぇ……?)

 私は更に呆れた。
 前々からしたかった、とか言っているが、要は思いつきの婚約破棄なのだ。
 正直、馬鹿としか言いようがない。

(もうこんな人とは婚約してられないわね)

 私も婚約破棄することを決意した。

「……分かりました。その婚約破棄受け入れます」
「ハッ! そうだろう! お前みたいな女より俺にはもっといい相手がいるからな!」

 ニックがガハハハ!と大きな声で笑う。
 その終始私を見下した発言に私は怒りが溢れそうで今すぐここを立ち去りたくなったが、我慢して押しとどまった。
 最後にやり直したことがあるのだ。

「ニック様」
「あ?」
「婚約破棄は構いませんが、私も最後にやり残したことがございます」

 私はニッコリと笑顔で笑ってこう言った。

「今まで貸したお金、全部返してください。卒業パーティーだし、いい機会なので」
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