あなたはその人が好きなんですね。なら離婚しましょうか。

水垣するめ

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20話

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今回は食事時に見るのはおすすめしません。



───









「やめろ! もうやめてくれ!」

 石を投げられる。

 何度も止めてくれと謝っても、泣いても、民衆は罵声とともに石を投げてくる。

 顔はいつしか腫れ、血だらけになっていた。

「このクズ!」
「死んで償え!」
「国民をなんだと思っているんだ!」
「地獄に落ちろ!」

 アルバートは首に枷を嵌められ、磔にされていた。
 真横にはエミーも同様に磔にされていた。
 昨日まで着ていた豪華なドレスや服は、小汚い服とも呼べないような布になっている。

 そして民衆はそんなアルバートとエミーに対して石を投げつけていた。

 昨日貴族たちが言っていた「むごい処刑方法」の一つだ。

 ベチャリ、とアルバートの顔に何かが投げられた。
 それは汚物だった。

「うわぁぁぁぁっ!」

 アルバートは絶叫する。
 一度も体験したことのない屈辱。

 湧いてくる怒り、屈辱。しかし磔にされているアルバートはどうすることもできず、ただ叫ぶ。

 エミーは最早叫ぶ気力もないようで、当てられる石にも、汚物にもいつしか反応すらしなくなった。


 そしてそれが三日間続いた。

 アルバートとエミーは最早虫の息だった。
 言葉すら発するのも難しい状況で、今度は断頭台に立たされた。

「死ね!」
「ざまぁ見ろ!」
「早く地獄に落ちろ!」

 民衆は、口々にアルバートとエミーに罵声を浴びせる。

 そして、ギロチンの刃がアルバートとエミーの首を切り飛ばした。
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