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19話
しおりを挟む「な、何で……」
完璧にエミリアを騙せていたと思っていたアルバートは唖然とした声を上げる。
「分かりやすい嘘の言葉で、私が騙せると思っていましたか?」
「……」
アルバートは図星をつかれて固まる。
「それに、そもそも自分の命の為に真実の愛とまで語っていた女性を捨てる人なんて、よりを戻そうとも思いませんが」
「う、嘘じゃない! 心から、本当の言葉なんだ!」
「本当に救いようの無い人ですね」
エミリアは、はぁ……とため息をついた。
「あなたはその人が好きなんですよね? なら、離婚しましょう? ──そして処刑されて下さい」
エミリアはニコリと笑う。
アルバートは、いくら言葉を重ねてもエミリアは助けてくれないことを悟った。
何とかこの場から逃げ出そうと暴れる。
逃げなければ、殺されてしまう。
「嫌だ! 離せ! 俺は死にたくない!」
しかし兵士の拘束を振り解けるはずも無く、アルバートの抵抗は失敗する。
アルバートは隣のエミーを見た。
「私は死なない……。これは夢だわ……。きっとすぐに目が覚める……」
エミーは虚ろな目で現実から逃避している。
アルバートは天井を仰いだ。
「ああ、どうしてこんなことになってしまったんだ……」
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