あなたはその人が好きなんですね。なら離婚しましょうか。

水垣するめ

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17話

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「ど、毒杯っ!?」
「ふざけないで! 何よそれ!」

 アルバートとエミーは騒ぎ出す。

「はい。お二人にはこれを“自ら”飲んでいただきたいのです」

 エミリアの父は笑顔で説明する。

「ふざけるな! そんなものを飲むわけがないだろう!」
「そうよ! 私にそんなものを用意するなんて、冗談じゃすまされないわよ!」

 しかし二人は当然毒杯を飲もうとはしない。
 自ら進んで自殺する者はいないだろう。

「そうですか……それでは、お二人は断頭台で処刑することにします」

「は?」

「もちろん、民衆にも見てもらいましょう。世紀の暴君の処刑姿を」

 エミリアの父がそう言うと、周囲の貴族たちは一斉に賛同を示した。

「それはいい!」
「素晴らしい案だ!」

 中には改善案を出す貴族までいた。

「ああそうだ! その前に、広場で磔にするのはどうでしょう! 見せしめにするのです!」

「なるほど! ではその前に石を積み上げておきましょう! いくらでも投げつけられるように!」

 アルバートとエミーは、目の前で恐ろしい案を聞かされて、恐怖した。

「な、何なんだ!」
「私たちが何をしたっていうのよ!」

「ですから、毒杯を飲んでいただきたいのです。でないと、死よりも恐ろしい結末が待っていますよ?」

 目の前に毒杯が差し出される。
 アルバートとエミーは、自殺か、処刑かの二択を迫られていた。
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