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9話
しおりを挟む大量に送られてきたこの書類を見て私は苦虫を噛み潰したような顔になった。
もちろん、この書類を今すぐにでも破棄したり、燃やしたりしたいのは山々だが、恐らくは嫌がらせが主目的であるだろうが、きっとアルバートには別の狙いがある。
もし仮に、私がこの書類を燃やしたり、破棄したりすれば何かと因縁をつけるのだろう。
アルバートは「王妃の務めを放棄した」や「王宮の書類を燃やすということは、王族への反逆である」といった暴論を翳してくるはずだ。
だからこそ、玄関前のホールで私はこの書類をどう扱おうか悩んでいる。
少しの隙につけこまれるのはごめんだ。
その時。
「帰ったぞ。エミリア」
「ただいま、エミリア」
「お父様、お母様!」
アルバートに命じられ、隣国へと行っていた両親が帰ってきた。
「パーティーはどうなった? 私も参加したかったが、国王の命令とあれば断ることが出来なくてな……」
「本当よ。もうちょっとタイミングがずれていれば、エミリアの晴れ舞台を見ることが出来たのに……」
両親は私の結婚パーティーに出席出来なかったことをとても残念がっていた。
しかし、ホールに積み上げられた紙の束を見て、両親は質問してきた。
「ん? なんだこれは。エミリア、何かあったのか?」
私は両親に心配をかけたくはなかったが、もう自分だけはどうしようもない状況なので、両親に助けを求めることにした。
「実は……」
私はパーティーで何があったのか、そして今日王宮へ参内しようとしたらアルバートどんな仕打ちを受けたのかを説明した。
「なんですって!?」
「おのれ! 私達を国外へ派遣したのはそういうことか!」
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