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7話
しおりを挟む「失礼ですが、そのような名前は国王陛下から伺っていません」
「何を言っているんですか! エミリア様は王妃なんですよ! 名前を聞いていないなんて、そんなことあるわけがないでしょう!」
王妃となった私の名を知らないのはあり得ないと私の代わりにジェーンが門番へと怒鳴る。
実際、国中にお触れが出されたので、私の名を知らないはずは無いのだ。
それなのに、目の前の門番はしらばっくれる。
恐らく、アルバートの命令によるものだろう。
「では、今から国王陛下に聞いて参りますので……」
「なっ!? 貴族を門前で待たせると言うのですか!?」
本来なら応接室へ案内して対応するのが常識だ。
「国王陛下の許可がなければお通しすることは出来ませんので」
門番はそう念押ししてアルバートへと許可を取りに行った。
しかし、いくら待っても門番は戻って来ない。
そして一時間後、ようやく戻って来たかと思うと、
「やっぱり、陛下はそんな人物に心当たりがない、と仰っていますが?」
と伝えてきた。
私は歯噛みをした。
アルバートが私の名を知らないはずが無い。
明らかに、私に対しての嫌がらせだった。
「やっぱり、私を王宮へ入れたくないのね……」
私は唇を噛む。
アルバートは私を王妃として認めたくないために、王宮へ入るのを邪魔しているようだ。
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