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15話
しおりを挟む「さ、流石にそれは厳しすぎます……」
「は?」
ロバートはどうやら私が請求した内容に不満があるようだった。
その場のほとんどの人物が「コイツは何を言っているんだ」という表情になる。
ロバートは必死になって私にまくし立てる。
「いや、だって借金も全てこっちが支払って、なおかつ金貨三百枚なんて、酷すぎるよ……」
「何を言ってるんですか? 借金の請求はそもそも当然の請求です。それにあなた、私の家のお金を横領していたんですよ? 立派な犯罪なんですが?」
「い、いやそれは……」
「これ以上に何か正当な言い分があるんですか?」
「……」
ロバートは黙った。
本当に最低の男だ。
「しかも、何であなたさっきから被害者面をしているんです?」
「え?」
ロバートは図星をつかれたような顔になった。
「いや、そうでしょう? 元々自分がやったことが原因なのになんでそんな顔をしているんです? まさか自分が可哀想なんて思ってませんよね?」
「あ、いや……」
またロバートは図星をつかれたように黙る。
「また自分が被害者みたいな顔してる。あのね、被害者はこっちです。あなたはケチをつけれるような立場じゃないんですよ」
「……」
ロバートが完全に黙った。
自分の都合の悪い時だけはこうやって黙る。
もう薬のつけようがないくらいに酷い人間だ。
「この内容でいいですよね?」
私はフィリップに質問する。
フィリップはハンカチで汗を拭いながら答えた。
「は、はい……。それで息子が警察に突き出されないなら……」
「は? 何を言ってるんですか。ロバートはこのまま警察に突き出しますけど?」
「「え?」」
フィリップとロバートの声が重なる。
「いやいやだって別に慰謝料は請求しましたが、それは浮気したことに対してです。ロバートは犯罪を犯したんですから警察には突き出しますよ?」
「そ、そんな!」
ロバートが悲痛な声で叫んだ。
「今まで犯罪を犯して甘い汁をすすっておいて、いざ悪事がバレれば警察に突き出さないでくれ、なんて都合のいい話がある訳ないでしょう? 警察に突き出します」
「う、嘘だ……」
「自分のしたことをじっくりと後悔しながら牢屋で暮らして下さいね?」
ロバートががっくりと膝を地面についた。
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