いいですよ、離婚しましょう。だって、あなたはその女性が好きなのでしょう?

水垣するめ

文字の大きさ
上 下
13 / 18

13話

しおりを挟む
 国王はホスキンス家側を見る。

「あ、ぅあ……」

 国王に目を向けられた瞬間、ロバートはまた震え始めた。

「まずは事実の確認をしよう。説明してくれるか?」
「はい」

 国王から目を向けられた私は頷く。
 そして今までロバートにされたことについて話し始めた。

「彼はサラ・サリヴァンと浮気していました。また、メディナ家のお金を金貨百枚ほど横領し、メディナ家の名義で勝手に商会から金貨二百枚を借りていました。これは商会に証拠があります」
「そ、それは本当ですか!?」

 ホスキンス家の当主のフィリップが驚愕して席から立ち上がる。
 商会から金貨二百枚を勝手に借りていることはまだ話していなかったので、驚いているのだろう。

「本当です。証拠もありますよ」
「な、何ということだ……」

 フィリップはその場に膝を突く。
 国王はため息をついた。

「想像以上に酷い話だな。だがそれよりもまず知りたいことがある。ロバート・ホスキンス。何故そのような行動に及んだのだ?」
「え、あ……」

 国王に目を向けられたロバートはまたもや言葉を詰まらせる。
 答えられないと理解した国王は次に横のサラに目を向けられた。

「サラ・サリヴァン。貴様が説明しろ。ロバートが金貨三百枚を入れこんだのは貴様だろう?」
「……」

 サラは俯いて言葉を詰まらせる。

「そうか、国王である私に向かって無視を決め込むか。なるほどな」

 国王はトントン、と椅子を指で叩く。
 国王はニッチに目を向ける。
 ニッチは慌ててサラを怒鳴りつけた。

「おい! 早く訳を話さんか!」
「う、うう……」

 それでもまだ訳を話さないサラに、ニッチは襟を掴んで迫る。

「いいから話せ! 話さねばこの家から追放するぞ!」
「う、うぅぅぅ……」
「話さんかあぁぁぁっっ!!」

 ニッチの気迫についに負けたかのように、サラががっくりと項垂れる。
 そして全てを説明し始めた。

「……子供が、います。私のお腹に」
しおりを挟む
感想 74

あなたにおすすめの小説

夫のかつての婚約者が現れて、離縁を求めて来ました──。

Nao*
恋愛
結婚し一年が経った頃……私、エリザベスの元を一人の女性が訪ねて来る。 彼女は夫ダミアンの元婚約者で、ミラージュと名乗った。 そして彼女は戸惑う私に対し、夫と別れるよう要求する。 この事を夫に話せば、彼女とはもう終わって居る……俺の妻はこの先もお前だけだと言ってくれるが、私の心は大きく乱れたままだった。 その後、この件で自身の身を案じた私は護衛を付ける事にするが……これによって夫と彼女、それぞれの思いを知る事となり──? (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)

嘘をありがとう

七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」 おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。 「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」 妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。 「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」

愛人のいる夫を捨てました。せいぜい性悪女と破滅してください。私は王太子妃になります。

Hibah
恋愛
カリーナは夫フィリップを支え、名ばかり貴族から大貴族へ押し上げた。苦難を乗り越えてきた夫婦だったが、フィリップはある日愛人リーゼを連れてくる。リーゼは平民出身の性悪女で、カリーナのことを”おばさん”と呼んだ。一緒に住むのは無理だと感じたカリーナは、家を出ていく。フィリップはカリーナの支えを失い、再び没落への道を歩む。一方でカリーナには、王太子妃になる話が舞い降りるのだった。

わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~

絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

婚約者に親しい幼なじみがいるので、私は身を引かせてもらいます

Hibah
恋愛
クレアは同級生のオーウェンと家の都合で婚約した。オーウェンには幼なじみのイブリンがいて、学園ではいつも一緒にいる。イブリンがクレアに言う「わたしとオーウェンはラブラブなの。クレアのこと恨んでる。謝るくらいなら婚約を破棄してよ」クレアは二人のために身を引こうとするが……?

もう愛されてはいないのですね。

うみか
恋愛
夫は私を裏切り三人の女性と不倫をした。 侍女からそれを告げられた私は……

お飾りの妃なんて可哀想だと思ったら

mios
恋愛
妃を亡くした国王には愛妾が一人いる。 新しく迎えた若い王妃は、そんな愛妾に見向きもしない。

処理中です...