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11話
しおりを挟む「おやおやニッチ殿、申し訳ありません。私の従者が……おや?」
エドワードが優雅に歩いてこちらへとやってくる。
そして私の顔を見てにっこりと笑った。
「おやおやこれは。どうやら私達はとんでもない場面に出会ってしまったようですね。私の婚約者が他の男と抱き合っているように見えますが?」
「な、何をしているかぁっ!」
「黙りなさい。私は質問しているんです。これは何ですか?」
エドワードはわざとらしく部屋を覗き込み、ニッチに笑顔で振り返る。
ただし声は底冷えのするような冷たい声。
ニッチが「ひぃっ……!」と悲鳴をもらした。
「な、何だこれ……!」
「何すんのよ!」
ロバートとサラが慌てて布団で身を隠す。
もうそんなことをしても遅いというのに。
「もう言い逃れできないわね」
「ええ、そうだねアリシア」
部屋の中に入ってきた私とエドワードを見て、ロバートとサラはそれぞれ顔色を変える。
「こ、これは違うんだ!」
「エドワード様、これは……!」
二人は往生際悪く言い訳をしている。
私はロバートの頬を思いっきり引っぱたいてやった。
バチン! といい音がなってロバートがぶたれる。
それにサラ怒った。
「何すんのよ!」
やり返そうとしたサラが私に殴りかかる。
それをエドワードが止めた。
サラがエドワードの手から逃れようともがく。
「は、離して……!」
「離せばアリシアに殴りかかるつもりなんだろう? そんなこと見過ごせるはずがないじゃないか。それに君にもしっかりと事情を聞かないと」
冷たい笑顔でサラに詰め寄るエドワードを横目に、私はロバートを見下ろす。
「年貢の納め時ですね」
「あ、うぁ……」
「今まで散々色々とやってくれましたね。浮気に横領に漏洩に……絶対に許しませんが」
「ひぃっ!」
「では今から“お話”しましょうか。この場にいる全員で……ああ、あなたのご実家の方もお呼びしましょう」
「私の方も父上を呼びましょう。こんな一大事ですからね」
私は笑顔でそう言葉をかわした。
ロバートとサラ、そしてニッチの表情が絶望に染まっていく。
「そんな顔をしても絶対に逃しませんよ。今までのことを償わせるまではね」
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