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7話
しおりを挟む私はサリヴァン家の屋敷へと向かった。
ロバートを引きずり出し、離婚に同意させてサインさせないと、私のメディナ家が金貨二百枚という大金の借金を背負ってしまう。
浮気されたうえにそんな借金も背負わされるなんて理不尽、耐えられない。
馬車が止まる。
サリヴァン家の前についた。
私は馬車からおりてサリヴァン家の屋敷を見上げる。
私のメディナ家よりも大きなこの屋敷の中に、ロバートがいるはずなのだ。
ほぼ全ての窓にカーテンがかけられ、中が見れないようになっている。
「これは隠していますね」
「ええ、確実ね」
使用人が呟く。私もそれに同意した。
本来貴族の家の全ての窓にカーテンがかかっているなんてありえない。
そんな状況があるとしたら、何かを隠しておきたい時だ。
私はサリヴァン家の前に立っている二人の門番の内の一人に声をかける。
「メディナ家のアリシアよ。サリヴァン家の当主を呼んでくれるかしら」
「少々お待ちください」
声をかけられた門番が門の中に入っていく。
そして三分ほどで戻ってきた。
「すみません、先にご用件を伺ってもよろしいでしょうか?」
「サリヴァン家が匿っている人物をこちらに引き渡してほしい、と言ってくれるかしら」
「分かりました」
また門番は中に入っていった。
そして時間が経って、さっきと同じように戻ってきた。
さっきと違うのは、やけに時間がかかっているのと、門番がのろのろと歩いているところだ。
「やけに遅いですね」
「そうね……」
門番はへらへらと笑って回答する。
「申し訳ありません。そんな人物はいないので引き渡しは出来ない、とのことです」
私は少しイラッとした。
こんな簡単な回答を出すのにこんなに時間がかかる訳がない。
私への嫌がらせだ。
「なら、サリヴァン家の当主のニッチ・サリヴァン公爵に直接合わせてもらえるかしら」
「伺ってきます」
門番はやけにのろのろと遅い動きで中に入っていく。
私はまた門の前で立たされた。
(遅い……)
遅すぎる。
さっきも時間がかかっていたが、今度はそれに比べ物にならないほど待たされている。
使用人がもう一人の門番に怒鳴った。
「おい、もう一時間以上待たされているぞ!」
「そう言われましても……」
門番は頭をかいて、どこ吹く風、といった様子だ。
ちょうどその時、またのろのろと歩いて門番がやってきた。
そしてへらへらと笑いながら私にこう言った。
「申し訳ありませぇん。ただ今ニッチ様は外出しているので、面会は出来ないとのことです」
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