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2話
しおりを挟む「今日は、結婚記念日ですよ」
「あっ」
ロバートは今日が何の日か思い出したようだ。
と言っても、もう遅いが。
「まさか忘れてたんですか?」
「い、いや、そんなわけ……」
「忘れてないなら、何故こんな遅くに帰って来たんです? 今までずっと料理を準備して待っていたのに」
「……」
またロバートは黙り込んだ。
「私、昨日ちゃんと言いましたよね。明日は記念日なのでお祝いしましょうと」
「……準備で忙しくてちゃんと聞けていなかった」
「ええ、確かに準備していましたね。彼女と会うための。凄く浮かれたご様子でした」
「……」
どうせあの幼馴染と会うのが楽しみで生返事をしていたのだろう。
私はもうきっぱりと言うことにした。
「ロバート様、もうあの幼馴染と会わないようにしてください」
「え?」
「当然でしょう。妻がいながら、毎日のように他の女性の家へ行くなど異常です。むしろ今まで私はよく我慢出来ていたと思いますが」
「確かに、それはそうだが……」
「それが全てです。もうあの幼馴染の元へ行くことは許しません」
私はきっぱりと断言した。
しかしロバートは憤慨したように怒鳴る。
「そ、それはあまりにもヒドイじゃないか!」
「行けば、両方の実家へ今の現状を報告させて頂きます」
「……」
「今まで黙認していたのはただの温情です。最後に一通手紙を出すことは許すので、別れの挨拶でもしてください」
ロバートは何も言えずに俯いた。
私はそう言うと踵を返し、自分の部屋へと戻った。
そして自分の机に座ると、深くため息をついた。
「疲れた……」
「アリシア様、お夕飯はいかがいたしましょう……」
「後で持ってきてくれるかしら。旦那様のせいで溜まっている仕事を片付けながら食べるから」
私はそう言って書類仕事に手を付ける。
ちなみに、ロバートは何もしていない。
と言うか、出来なかった。
ロバートはろくに仕事をこなすことが出来なかった。
だからロバートは私の家の金を使って毎日遊び呆けている。
「政略結婚のせいで簡単に離婚も出来ない。本当に最悪の旦那様ね……」
私は政略結婚を決めたお父様を少し恨んだ。
同時に、どうやったら離婚できるかを考え始めるのだった。
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