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6話

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「──おい、起きろ」

「ん……ここは……」

 体を揺さぶられる感覚。
 目を覚ますとロマン王子がいた。
 そこでここは教室なのだと思い出す。

「もう昼だぞ。いつまで寝てるんだ」

「すみません……」

 目を擦りながらあくびをする。
 未だ半分眠っている私の中に疑問が浮かんできた。
 なぜロマン王子は私を起こしてくれたんだろう。
 私が不思議に思って首を捻っているとロマン王子は眉をよせた。

「お前の婚約解消を手伝いに行くんだろうが」

「あ、そうでした」

「ほら、早く話をつけに行くぞ。ついてこい」

 私は立ち上がるとロマン王子の後ろについていった。

「お前の婚約者はいつもどこにいるんだ?」

「いつもは食堂の方で昼食をとっていると聞いています」

 私達は食堂へと向かった。
 ノーランはすぐに見つかった。
 ロマン王子と私はそれに近づいていく。

「おい」

 ロマン王子は食事をしているノーランの隣に立つと、今まで聞いたことのないような低い声を発した。

「え、ロマン王子……?」

 ノーランはいきなり声をかけられたことと、その声の主がロマン王子であったことに驚いていた。

「お前、ナタリーとの婚約を解消する紙を持っているだろう。出せ」

「い、いやー、何のことか……」

「御託はいい、早くしろ」

 この高圧的な物言い。さすがは王子と言ったところだ。
 しかし、ノーランは次にとんでもないことを言い出した。
 ノーランは悲しげな表情で俯く。
 そしてポツリと呟いた。

「実は、僕はナタリーとの婚約を解消したいと思っていないんです」

「「は?」」

「ナタリーは僕と婚約破棄をしたいようですが、僕は納得していないのです。だからしっかりと話がしたくて……」

 ノーランはやや芝居がかったようにそう言った。
 いけしゃあしゃあと何を言っているんだこの男は。
 こんなに堂々と嘘をつくとは。

「いや、嘘をつくな──」

「嘘じゃありません! 僕の目を見てください!」

「えぇ……」

 ノーランは立ち上がりロマン王子へと顔を近づけた。
 完全に勢いで押し切ろうとしている。

「もし嘘なら僕を煮るなり焼くなり好きにすればいいですよ!」

 ノーランは両手を広げ、自分に罪はないことをアピールしている。
 こんな胆力どこから出てきたんだろう。
 ロマン王子は周囲を見ると何かに気づいて舌打ちをした。

「チッ、おい、ここは一旦退くぞ。注目されてきたからな」

 ロマン王子が私にそう言った。
 確かに周りを見るとノーランが大きな声を出したせいで、野次馬が集まってきていた。
 私はマズイと感じたので、ロマン王子と一緒に食堂から脱出した。
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