40 / 57
40話 倒れたノエル
しおりを挟む
アンナからの知らせを聞いた途端、私は脇目も振らずに走り出していた。
ノエル様の部屋まで走っている間、私は不安に押しつぶされそうだった。
「ノエル様!」
ノックすらせずノエル様の部屋の扉を開ける。
飛び込むようにノエル様の部屋の中に入るとノエル様はベッドの上で上半身を起こして座っていた。
熱があるのか頬が赤く、少し苦しそうに呼吸をしている。
「ノエル、様……!」
私はショックで言葉が出なかった。
「リナリア……え?」
ノエル様が目を開け始めていたが、私は踵を返して走り出していた。
「リナリア!?」
後から追いついてきたアンナが私の背中に向かって叫ぶ。
だがその声には目もくれず私は走っていた。
目指すのは厨房だ。
「厨房を貸してください!」
「へ?」
私は急いで厨房へ駆け込み、そして厨房を借りると厨房にある限りの薬草を入れてお粥を作る。
このお粥は私が実家にいた頃、熱を出したときに自分で作っていたものだ。看病してくれる人なんて当然いなかったので、病気に効きそうな薬草を自分で調べて作る他なかった。
その結果出来たのがこの薬草粥だ。
本で読んだ薬草をありったけ入れているので直ぐに熱は下がる。ただ、その分凄く苦い。
そして出来上がった薬草粥を急いでノエル様の元まで運んでいく。
「お願いします! 食べてください!」
私はほとんど泣きながらノエル様に薬草入りのお粥を差し出した。
「……」
ノエル様はそれを見て、何も言わずに私の差し出したスプーンからお粥を食べた。
ノエル様が顔を顰めた。
「……苦いです」
「当然ですこれくらい! だって……信じてたんですよ。無茶しない、って言ってたのに! 心配で心配でたまらなかったのに、なんで倒れてるんですか! 私の気持ちを考えてください!」
不安と、悲しみと、心配とをごちゃ混ぜにして私は叫ぶ。
「……申し訳ありません」
私が涙を流しながらノエル様の胸を叩くとノエル様は申し訳なさそうに謝った。
「仕事、手伝います」
私は鼻を啜りながらノエル様を睨んだ。
「え?」
「当たり前じゃないですか。こんなに念を押したのに倒れたんですから、手伝うに決まってます」
「そ、それは……」
「ここで仕事を手伝わせてくださらなかったらもうずっと口を利きません。それに一日中泣いてノエル様を責めます。それでも良いんですか?」
「それは困ります……」
「それに……私、ノエル様に会えなくて寂しいです。もっとお話したいです。だからお仕事を手伝わさせてください。駄目ですか?」
私はノエル様を見上げる。
この言葉はここ最近ノエル様と話す機会すら少なくなってしまった私の本心だった。
しかし何かおかしなことを言ってしまったのか、私がそう言うとノエル様はいきなり固まった。
「……それを最後に持ってくるとは、あなたも強かになりましたね」
「え?」
強か?何のことだろうか。私はただ思ったことを言っただけだ。
ノエル様が私の頭に手を乗せて撫でる。
「分かりました、リナリア。私の仕事を手伝って貰っても良いですか?」
「もちろんです」
私は目尻に溜まった涙を拭って微笑んだ。
そして私が落ち着いてきた頃にノエル様は私に改めて謝った。
「すみません。少し疲れが出たようです。ですがただの熱なのですぐに仕事には戻れると……」
ノエル様がまるでこの後仕事に戻るような仕草を見せ始めていたので、私は慌てて阻止する。
「駄目です! ちゃんとお薬を飲んでください! お医者様は……!」
「今馬車で急いで呼びに行かせていますので、もうしばらくすればやってくるかと……」
代わりに答えてくれたのは側でずっと見守ってくれていたメイド長のクラリスだった。
「そ、そうなんですね……」
私は自分の行動が尚早であったことを理解した。
お医者様が来るなら別に薬草粥を作る必要はなかったのだから。
「申し訳ありませんノエル様……! 私、勝手に薬草粥なんか作って……あ! それに毒味も……!」
ノエル様に薬草粥を食べさせようと必死で、毒味を通すのを忘れていた。
「毒味は……もういいんです」
「え?」
「リナリアの作る食事に毒味が必要ないのはもう分かっていますから」
それはつまり、信用してもらえたということだろうか。
毒味が要らないくらい信頼されているというのは嬉しいが、そんなにあっさり信じられると私も照れてしまう。
「その……リナリア」
ノエル様が歯切れ悪く切り出してきた。
「何でしょう」
「実は……すみません。もう一つ嘘をついていました」
「え?」
「リナリアに仕事をさせたくない理由は本当ですが、もう一つ理由があったのです」
「それは何ですか?」
「それは……口に出すのは少し恥ずかしいのですが」
私が追求するとノエル様は言い出しづらそうな表情になった。
よほど恥ずかしい理由なのだろうか。
「この際なんですから白状してください」
私が少し非難の色を含めて目を細めるとノエル様は観念したのか話し始めた。
「実は……リナリアといると、どうしてもリナリアを構ってしまうと思ったんです」
「……え?」
私はポカンと口を開けた。
「その……リナリアが近くにいるとリナリアばかりに意識が行って、仕事がおろそかになってしまって。というかもう既にかなり仕事が疎かになっているというか……そのせいでここまで無茶をせざるを得なくなったと言うか……」
ノエル様が気まずそうに顔を逸らす。
それは、つまり。
もう既に私に気を取られて仕事が疎かになった結果、この仕事の量になったという訳で……。
私の顔が真っ赤に染まった。
「そんな……まさか……」
私はあまりにも突然だったので口に手を当てて驚いていた。
チラリと伺うとノエル様も気恥ずかしそうな表情になっている。
「えっと……その……ありがとうございます……?」
何かを言わなければと思いそう言ったのだが、余計におかしなことを言ってしまった。
奇妙な沈黙が流れる。
私は居た堪れなくなって、取り敢えず部屋から逃げ出すことにした。
「そ、それでは失礼します!」
「あっ……」
このままここにいても目も合わせられないと思った。
それぐらい私の頭の中は困惑していた。
まるで逃げるようにして自分の部屋へと戻ってくると、またさっきみたいにベッドに飛び込む。
「~~~っ!!」
枕に顔を押し当てながら声にならない叫び声をあげる。
「どうしたのよ。また戻ってきて」
私と一緒に部屋に戻ってきたアンナが呆れたようにため息をついていた。
「アンナさん! 聞きましたか! 今の言葉!」
私はガバッと顔を上げてアンナ質問する。
「き、聞いてたけど……」
食い気味に聞いてきた私にアンナは若干引いていた。
「何ですかあれ! 何ですかあれ! ノエル様は本当にもうっ……!」
私は行き場のない感情が枕に振り下ろす。
ポス、と力の無い音がした。
私はそれからしばらくそのままだった。
ノエル様の部屋まで走っている間、私は不安に押しつぶされそうだった。
「ノエル様!」
ノックすらせずノエル様の部屋の扉を開ける。
飛び込むようにノエル様の部屋の中に入るとノエル様はベッドの上で上半身を起こして座っていた。
熱があるのか頬が赤く、少し苦しそうに呼吸をしている。
「ノエル、様……!」
私はショックで言葉が出なかった。
「リナリア……え?」
ノエル様が目を開け始めていたが、私は踵を返して走り出していた。
「リナリア!?」
後から追いついてきたアンナが私の背中に向かって叫ぶ。
だがその声には目もくれず私は走っていた。
目指すのは厨房だ。
「厨房を貸してください!」
「へ?」
私は急いで厨房へ駆け込み、そして厨房を借りると厨房にある限りの薬草を入れてお粥を作る。
このお粥は私が実家にいた頃、熱を出したときに自分で作っていたものだ。看病してくれる人なんて当然いなかったので、病気に効きそうな薬草を自分で調べて作る他なかった。
その結果出来たのがこの薬草粥だ。
本で読んだ薬草をありったけ入れているので直ぐに熱は下がる。ただ、その分凄く苦い。
そして出来上がった薬草粥を急いでノエル様の元まで運んでいく。
「お願いします! 食べてください!」
私はほとんど泣きながらノエル様に薬草入りのお粥を差し出した。
「……」
ノエル様はそれを見て、何も言わずに私の差し出したスプーンからお粥を食べた。
ノエル様が顔を顰めた。
「……苦いです」
「当然ですこれくらい! だって……信じてたんですよ。無茶しない、って言ってたのに! 心配で心配でたまらなかったのに、なんで倒れてるんですか! 私の気持ちを考えてください!」
不安と、悲しみと、心配とをごちゃ混ぜにして私は叫ぶ。
「……申し訳ありません」
私が涙を流しながらノエル様の胸を叩くとノエル様は申し訳なさそうに謝った。
「仕事、手伝います」
私は鼻を啜りながらノエル様を睨んだ。
「え?」
「当たり前じゃないですか。こんなに念を押したのに倒れたんですから、手伝うに決まってます」
「そ、それは……」
「ここで仕事を手伝わせてくださらなかったらもうずっと口を利きません。それに一日中泣いてノエル様を責めます。それでも良いんですか?」
「それは困ります……」
「それに……私、ノエル様に会えなくて寂しいです。もっとお話したいです。だからお仕事を手伝わさせてください。駄目ですか?」
私はノエル様を見上げる。
この言葉はここ最近ノエル様と話す機会すら少なくなってしまった私の本心だった。
しかし何かおかしなことを言ってしまったのか、私がそう言うとノエル様はいきなり固まった。
「……それを最後に持ってくるとは、あなたも強かになりましたね」
「え?」
強か?何のことだろうか。私はただ思ったことを言っただけだ。
ノエル様が私の頭に手を乗せて撫でる。
「分かりました、リナリア。私の仕事を手伝って貰っても良いですか?」
「もちろんです」
私は目尻に溜まった涙を拭って微笑んだ。
そして私が落ち着いてきた頃にノエル様は私に改めて謝った。
「すみません。少し疲れが出たようです。ですがただの熱なのですぐに仕事には戻れると……」
ノエル様がまるでこの後仕事に戻るような仕草を見せ始めていたので、私は慌てて阻止する。
「駄目です! ちゃんとお薬を飲んでください! お医者様は……!」
「今馬車で急いで呼びに行かせていますので、もうしばらくすればやってくるかと……」
代わりに答えてくれたのは側でずっと見守ってくれていたメイド長のクラリスだった。
「そ、そうなんですね……」
私は自分の行動が尚早であったことを理解した。
お医者様が来るなら別に薬草粥を作る必要はなかったのだから。
「申し訳ありませんノエル様……! 私、勝手に薬草粥なんか作って……あ! それに毒味も……!」
ノエル様に薬草粥を食べさせようと必死で、毒味を通すのを忘れていた。
「毒味は……もういいんです」
「え?」
「リナリアの作る食事に毒味が必要ないのはもう分かっていますから」
それはつまり、信用してもらえたということだろうか。
毒味が要らないくらい信頼されているというのは嬉しいが、そんなにあっさり信じられると私も照れてしまう。
「その……リナリア」
ノエル様が歯切れ悪く切り出してきた。
「何でしょう」
「実は……すみません。もう一つ嘘をついていました」
「え?」
「リナリアに仕事をさせたくない理由は本当ですが、もう一つ理由があったのです」
「それは何ですか?」
「それは……口に出すのは少し恥ずかしいのですが」
私が追求するとノエル様は言い出しづらそうな表情になった。
よほど恥ずかしい理由なのだろうか。
「この際なんですから白状してください」
私が少し非難の色を含めて目を細めるとノエル様は観念したのか話し始めた。
「実は……リナリアといると、どうしてもリナリアを構ってしまうと思ったんです」
「……え?」
私はポカンと口を開けた。
「その……リナリアが近くにいるとリナリアばかりに意識が行って、仕事がおろそかになってしまって。というかもう既にかなり仕事が疎かになっているというか……そのせいでここまで無茶をせざるを得なくなったと言うか……」
ノエル様が気まずそうに顔を逸らす。
それは、つまり。
もう既に私に気を取られて仕事が疎かになった結果、この仕事の量になったという訳で……。
私の顔が真っ赤に染まった。
「そんな……まさか……」
私はあまりにも突然だったので口に手を当てて驚いていた。
チラリと伺うとノエル様も気恥ずかしそうな表情になっている。
「えっと……その……ありがとうございます……?」
何かを言わなければと思いそう言ったのだが、余計におかしなことを言ってしまった。
奇妙な沈黙が流れる。
私は居た堪れなくなって、取り敢えず部屋から逃げ出すことにした。
「そ、それでは失礼します!」
「あっ……」
このままここにいても目も合わせられないと思った。
それぐらい私の頭の中は困惑していた。
まるで逃げるようにして自分の部屋へと戻ってくると、またさっきみたいにベッドに飛び込む。
「~~~っ!!」
枕に顔を押し当てながら声にならない叫び声をあげる。
「どうしたのよ。また戻ってきて」
私と一緒に部屋に戻ってきたアンナが呆れたようにため息をついていた。
「アンナさん! 聞きましたか! 今の言葉!」
私はガバッと顔を上げてアンナ質問する。
「き、聞いてたけど……」
食い気味に聞いてきた私にアンナは若干引いていた。
「何ですかあれ! 何ですかあれ! ノエル様は本当にもうっ……!」
私は行き場のない感情が枕に振り下ろす。
ポス、と力の無い音がした。
私はそれからしばらくそのままだった。
29
お気に入りに追加
3,963
あなたにおすすめの小説
今さら後悔しても知りません 婚約者は浮気相手に夢中なようなので消えてさしあげます
神崎 ルナ
恋愛
旧題:長年の婚約者は政略結婚の私より、恋愛結婚をしたい相手がいるようなので、消えてあげようと思います。
【奨励賞頂きましたっ( ゚Д゚) ありがとうございます(人''▽`)】 コッペリア・マドルーク公爵令嬢は、王太子アレンの婚約者として良好な関係を維持してきたと思っていた。
だが、ある時アレンとマリアの会話を聞いてしまう。
「あんな堅苦しい女性は苦手だ。もし許されるのであれば、君を王太子妃にしたかった」
マリア・ダグラス男爵令嬢は下級貴族であり、王太子と婚約などできるはずもない。
(そう。そんなに彼女が良かったの)
長年に渡る王太子妃教育を耐えてきた彼女がそう決意を固めるのも早かった。
何故なら、彼らは将来自分達の子を王に据え、更にはコッペリアに公務を押し付け、自分達だけ遊び惚けていようとしているようだったから。
(私は都合のいい道具なの?)
絶望したコッペリアは毒薬を入手しようと、お忍びでとある店を探す。
侍女達が話していたのはここだろうか?
店に入ると老婆が迎えてくれ、コッペリアに何が入用か、と尋ねてきた。
コッペリアが正直に全て話すと、
「今のあんたにぴったりの物がある」
渡されたのは、小瓶に入った液状の薬。
「体を休める薬だよ。ん? 毒じゃないのかって? まあ、似たようなものだね。これを飲んだらあんたは眠る。ただし」
そこで老婆は言葉を切った。
「目覚めるには条件がある。それを満たすのは並大抵のことじゃ出来ないよ。下手をすれば永遠に眠ることになる。それでもいいのかい?」
コッペリアは深く頷いた。
薬を飲んだコッペリアは眠りについた。
そして――。
アレン王子と向かい合うコッペリア(?)がいた。
「は? 書類の整理を手伝え? お断り致しますわ」
※お読み頂きありがとうございます(人''▽`) hotランキング、全ての小説、恋愛小説ランキングにて1位をいただきました( ゚Д゚)
(2023.2.3)
ありがとうございますっm(__)m ジャンピング土下座×1000000
※お読みくださり有難うございました(人''▽`) 完結しました(^▽^)
全てを捨てた私に残ったもの
みおな
恋愛
私はずっと苦しかった。
血の繋がった父はクズで、義母は私に冷たかった。
きっと義母も父の暴力に苦しんでいたの。それは分かっても、やっぱり苦しかった。
だから全て捨てようと思います。
聖女に選ばれなかったら、裏のある王子と婚約することになりました。嫌なんですけど。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「エミュシカ、君は選ばれなかった」
ほぼ確定だったはずの聖女に選ばれず、王太子の婚約者になってしまった。王太子には愛する人がいて、おまけに裏表が激しい。エミュシカだけに聞こえるように「君を愛することはないだろう」と囁いた。なるほど……?
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
【完結】 いいえ、あなたを愛した私が悪いのです
冬馬亮
恋愛
それは親切な申し出のつもりだった。
あなたを本当に愛していたから。
叶わぬ恋を嘆くあなたたちを助けてあげられると、そう信じていたから。
でも、余計なことだったみたい。
だって、私は殺されてしまったのですもの。
分かってるわ、あなたを愛してしまった私が悪いの。
だから、二度目の人生では、私はあなたを愛したりはしない。
あなたはどうか、あの人と幸せになって ---
※ R-18 は保険です。
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる