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38話 リナリアはお仕事を手伝いたい。
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『ノエル様のことは好き?』
パーティーの日から、私はイザベラ様から言われた言葉について考えていた。というか、それしか考えることが出来なかった。
余りにも言葉のインパクトが大きすぎたからだ。
でも結局、ノエル様のことが好きかどうかという問いに答えは出なかった。
私がノエル様に好意を持っていることは確かだ。
ノエル様といると楽しいし、心の中に陽の光がさしてポカポカした気持ちになる。
ふとした時にノエル様が私を褒めてくれた言葉を思い出して、嬉しいような、恥ずかしいような気持ちになってベッドの上で転がり回る時だってある。
だからと言ってこの気持ちが恋心なのかと聞かれたら、分からない。
この気持ちが恋心なのかなんて、今まで狭い世界の中で生きることに必死だった私には全く分からないのだ。
でも、ノエル様を好きになったところでいずれは婚約は消えて無くなってしまうのだから、辛いだけなのではないか、とも思う。
それにノエル様は私のことを友人だといってくれた。
それだけで今は十分幸せだから。
今はこの関係のままでいい。
朝食の後のティータイム。
今日は久しぶりにノエル様から「今日は仕事が忙しいので」連絡が入ったので、自室で朝食を食べることになった。
ノエル様と朝食を食べることができないのは寂しいが、ちょうどいいからと私はアンナに相談した。
私は温かい紅茶を一口飲み、息を吐いてからアンナに相談した。
「私、ノエル様のお仕事を手伝いたいんです」
「ノエル様のお仕事を?」
急にそんなことを言い出した私にアンナは不思議そうに首を捻った。
「でも、そんなの出来るの?」
「はい、家では父から仕事をさせられていたので。それに私がしたいのは計算だとか、雑用の方面なので問題なく出来ると思います」
私の目的はノエル様の負担を出来るだけ軽くすることだ。
だから別に重要な政務に関わる必要は無いし、返ってノエル様を困らせるようなことはしたくない。
「ほとんどの仕事を任せていたって……今はどうしてるの?」
「それは……分かりません。でも私にさせる前は父が仕事をしていたはずなので」
「ふぅん、まぁ興味無いけど」
伯爵家の仕事自体はつつがなく回っているはずだ、というとアンナは興味が無さそうにそっぽを向いた。
その表情がいつもよりどこか険しくて、私は察した。
「ありがとうございますアンナさん」
「は?」
「怒ってくれて」
「っ! そんなんじゃ無いから! ほら! 結局どうするの! ノエル様に仕事をさせてくださいって頼みに行くんでしょ?」
「そうですね……でも、今のまま頼んだら断られるような気がして。どうやって頼むのが効果的なんでしょうか……?」
「そうね……」
私とアンナは一緒に考え込む。
「あ」
先に何かを思いついたのはアンナが先だった。
「それなら、私にいい案があるんだけど」
「ノエル様」
コンコン、と私は書斎の扉をノックする。
「リナリア? ……どうぞ」
私の声が聞こえてきたことに対する困惑したような声色と、少ししてから返事が返ってくる。
「失礼します」
私は書斎の中に入る。
ノエル様は机で仕事をしていた。
ノエル様は少しシャツの前ボタンを一つ外していて、少し色っぽかった。
「リナリア……!?」
ノエル様は私を見るや否や驚愕した表情で私を目を見開いた。
「? どうかしましたか」
「今何時だと思っているんですか!? それにそんな格好で……」
「え? えっと、おかしかったでしょうか……」
私はノエル様の言葉にそんなにおかしな格好だったのかと少しショックを受けながら、足首まである長いスカートを摘んで服を確認する。
今私は入浴をした後なので寝巻き姿だった。
私は夜は自室にいることが多いのでこの寝巻き姿を見せるのは以前の真夜中の読書会以来だし、いつものように最低限のおしゃれもしていないので少し見苦しかったかもしれない。
それでもノエル様に選んでもらった服なのでそんなにおかしくはないと思うのだが……。
私は今一度服装を確認する。うん、やっぱりおかしくない。
「アンナさんはこれで行った方が良い、って言ってたんですけど」
「アンナ……」
ノエル様はこめかみを摘んで天井を向く。
「やっぱりあなたの差し金でしたか。道理でおかしいと……」
ノエル様はぶつぶつと呟いている。
「今日はノエル様にお願いがあって来ました」
「お願い?」
「はい、ノエル様のお仕事を私にお手伝いさせていただけませんか?」
ノエル様が怪訝そうな顔になった。
「なぜ急にそんなことを?」
「イザベラ様のように、私もノエル様のお仕事をお手伝いさせて頂きたいのです」
私はノエル様の瞳を見つめてお願いする。
「それにノエル様、最近お忙しそうですよね?」
「それは……」
「二週間ほど前まではたくさん会う時間だってあったのに、最近はご飯の時間と花園でしか会ってないです、それに今日は朝食も会えませんでしたし」
「う……」
ノエル様がたじろぐ。
「私はノエル様の体調が心配なのです。そんなにずっと根を詰めて仕事をしていればすぐに体を壊してしまいます」
「ですが私が体を壊しても自分の責任なので……」
確かにそうかもしれない。
ノエル様が自分の意思でそこまで頑張って仕事をしているなら、私にはそれを止める権利なんてものは無いのかもしれない。
だが、そういうことじゃないのだ。
「でも、ノエル様が体を壊すと私が悲しいです……」
それは現時点で私に言える精一杯の言葉だった。
これで駄目ならもう私にノエル様の仕事を手伝うための理由は無くなってしまう。
ノエル様は目を瞑って、少し考えて、そして心に決めたように目を開いた。
「駄目です」
「っ!」
明確な拒絶。
私の心がズキンと痛んだ。
そんな答えが返ってくることは予想していたはずなのに、どうしても心は傷ついてしまう。
「申し訳ありません。ですが、これは私の問題なのです。私が公爵家の当主の座を継ぐ前、父はこの仕事をこなしていたんです。当主として相応しいとその仕事を託された今、こんなことで弱音を吐いていることはできないんです」
「……」
ノエル様にはノエル様の考えがある。
公爵家の当主として相応しくあろうとするその気持ちを否定することなんてできない。
「それに、リナリアは今まで伯爵家の仕事を強制的にさせられてきたと、そう言ってましたよね?」
「はい」
「だったら、尚更リナリアには仕事はさせられません」
「な、なぜですか? 私は自分から望んで」
「たとえリナリア自身が望んでいたことであったとしても、私はあの家であなたがさせられていたことをして欲しく無いんです。せめてこの屋敷では、リナリアに笑っていて欲しいのです」
「……っ!」
私の頬が熱くなった。
私がノエル様のことを心配しているように、ノエル様も私のことを考えてくれている。
それだけで私の胸はいっぱいになって、言い返せなくなった。
「それを最後にもってくるなんて、ずるいです……」
そんな事を言われたら言い返せないに決まってる。
こういう時、ノエル様には年上の余裕があって、本当にずるいなぁ、と私は思う。
もしかして、こうなることが分かって計算していたのだろうか。
そうだとしたらノエル様はとんでもない腹黒だ。
私の気持ちを察してか、ノエル様は私の頭を撫でた。
「大丈夫です。この忙しい状態はもう少ししたら終わりますから」
「それはどのくらいですか?」
「……一ヶ月ほどかと」
「ノエル様!」
私は堪らず叫んだ。
「大丈夫です。絶対に一ヶ月以内に終わるように頑張りますから。その後はいつも通りの量に戻るはずです」
「いえ、頑張り過ぎないで欲しいのですが……」
頑張りすぎて体調を崩されたら本末転倒だ。
「それなら、今度クッキーを作ってください。リナリアのクッキーがあるだけで元気になりますから」
「……分かりました。作ります」
ずるい。ほんとにずるいと思う。
そんな言葉を言われたら、さっき拒絶されたショックなんて全部吹き飛んで忘れてしまうくらいに嬉しさが心の底から湧いてくるのだから。
「でも、頑張りすぎないでくださいね」
「はい」
私はもう一度念押しをする。
ノエル様は微笑んで頷いた。
今はノエル様のことを信じることにした。
パーティーの日から、私はイザベラ様から言われた言葉について考えていた。というか、それしか考えることが出来なかった。
余りにも言葉のインパクトが大きすぎたからだ。
でも結局、ノエル様のことが好きかどうかという問いに答えは出なかった。
私がノエル様に好意を持っていることは確かだ。
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でも、ノエル様を好きになったところでいずれは婚約は消えて無くなってしまうのだから、辛いだけなのではないか、とも思う。
それにノエル様は私のことを友人だといってくれた。
それだけで今は十分幸せだから。
今はこの関係のままでいい。
朝食の後のティータイム。
今日は久しぶりにノエル様から「今日は仕事が忙しいので」連絡が入ったので、自室で朝食を食べることになった。
ノエル様と朝食を食べることができないのは寂しいが、ちょうどいいからと私はアンナに相談した。
私は温かい紅茶を一口飲み、息を吐いてからアンナに相談した。
「私、ノエル様のお仕事を手伝いたいんです」
「ノエル様のお仕事を?」
急にそんなことを言い出した私にアンナは不思議そうに首を捻った。
「でも、そんなの出来るの?」
「はい、家では父から仕事をさせられていたので。それに私がしたいのは計算だとか、雑用の方面なので問題なく出来ると思います」
私の目的はノエル様の負担を出来るだけ軽くすることだ。
だから別に重要な政務に関わる必要は無いし、返ってノエル様を困らせるようなことはしたくない。
「ほとんどの仕事を任せていたって……今はどうしてるの?」
「それは……分かりません。でも私にさせる前は父が仕事をしていたはずなので」
「ふぅん、まぁ興味無いけど」
伯爵家の仕事自体はつつがなく回っているはずだ、というとアンナは興味が無さそうにそっぽを向いた。
その表情がいつもよりどこか険しくて、私は察した。
「ありがとうございますアンナさん」
「は?」
「怒ってくれて」
「っ! そんなんじゃ無いから! ほら! 結局どうするの! ノエル様に仕事をさせてくださいって頼みに行くんでしょ?」
「そうですね……でも、今のまま頼んだら断られるような気がして。どうやって頼むのが効果的なんでしょうか……?」
「そうね……」
私とアンナは一緒に考え込む。
「あ」
先に何かを思いついたのはアンナが先だった。
「それなら、私にいい案があるんだけど」
「ノエル様」
コンコン、と私は書斎の扉をノックする。
「リナリア? ……どうぞ」
私の声が聞こえてきたことに対する困惑したような声色と、少ししてから返事が返ってくる。
「失礼します」
私は書斎の中に入る。
ノエル様は机で仕事をしていた。
ノエル様は少しシャツの前ボタンを一つ外していて、少し色っぽかった。
「リナリア……!?」
ノエル様は私を見るや否や驚愕した表情で私を目を見開いた。
「? どうかしましたか」
「今何時だと思っているんですか!? それにそんな格好で……」
「え? えっと、おかしかったでしょうか……」
私はノエル様の言葉にそんなにおかしな格好だったのかと少しショックを受けながら、足首まである長いスカートを摘んで服を確認する。
今私は入浴をした後なので寝巻き姿だった。
私は夜は自室にいることが多いのでこの寝巻き姿を見せるのは以前の真夜中の読書会以来だし、いつものように最低限のおしゃれもしていないので少し見苦しかったかもしれない。
それでもノエル様に選んでもらった服なのでそんなにおかしくはないと思うのだが……。
私は今一度服装を確認する。うん、やっぱりおかしくない。
「アンナさんはこれで行った方が良い、って言ってたんですけど」
「アンナ……」
ノエル様はこめかみを摘んで天井を向く。
「やっぱりあなたの差し金でしたか。道理でおかしいと……」
ノエル様はぶつぶつと呟いている。
「今日はノエル様にお願いがあって来ました」
「お願い?」
「はい、ノエル様のお仕事を私にお手伝いさせていただけませんか?」
ノエル様が怪訝そうな顔になった。
「なぜ急にそんなことを?」
「イザベラ様のように、私もノエル様のお仕事をお手伝いさせて頂きたいのです」
私はノエル様の瞳を見つめてお願いする。
「それにノエル様、最近お忙しそうですよね?」
「それは……」
「二週間ほど前まではたくさん会う時間だってあったのに、最近はご飯の時間と花園でしか会ってないです、それに今日は朝食も会えませんでしたし」
「う……」
ノエル様がたじろぐ。
「私はノエル様の体調が心配なのです。そんなにずっと根を詰めて仕事をしていればすぐに体を壊してしまいます」
「ですが私が体を壊しても自分の責任なので……」
確かにそうかもしれない。
ノエル様が自分の意思でそこまで頑張って仕事をしているなら、私にはそれを止める権利なんてものは無いのかもしれない。
だが、そういうことじゃないのだ。
「でも、ノエル様が体を壊すと私が悲しいです……」
それは現時点で私に言える精一杯の言葉だった。
これで駄目ならもう私にノエル様の仕事を手伝うための理由は無くなってしまう。
ノエル様は目を瞑って、少し考えて、そして心に決めたように目を開いた。
「駄目です」
「っ!」
明確な拒絶。
私の心がズキンと痛んだ。
そんな答えが返ってくることは予想していたはずなのに、どうしても心は傷ついてしまう。
「申し訳ありません。ですが、これは私の問題なのです。私が公爵家の当主の座を継ぐ前、父はこの仕事をこなしていたんです。当主として相応しいとその仕事を託された今、こんなことで弱音を吐いていることはできないんです」
「……」
ノエル様にはノエル様の考えがある。
公爵家の当主として相応しくあろうとするその気持ちを否定することなんてできない。
「それに、リナリアは今まで伯爵家の仕事を強制的にさせられてきたと、そう言ってましたよね?」
「はい」
「だったら、尚更リナリアには仕事はさせられません」
「な、なぜですか? 私は自分から望んで」
「たとえリナリア自身が望んでいたことであったとしても、私はあの家であなたがさせられていたことをして欲しく無いんです。せめてこの屋敷では、リナリアに笑っていて欲しいのです」
「……っ!」
私の頬が熱くなった。
私がノエル様のことを心配しているように、ノエル様も私のことを考えてくれている。
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そんな事を言われたら言い返せないに決まってる。
こういう時、ノエル様には年上の余裕があって、本当にずるいなぁ、と私は思う。
もしかして、こうなることが分かって計算していたのだろうか。
そうだとしたらノエル様はとんでもない腹黒だ。
私の気持ちを察してか、ノエル様は私の頭を撫でた。
「大丈夫です。この忙しい状態はもう少ししたら終わりますから」
「それはどのくらいですか?」
「……一ヶ月ほどかと」
「ノエル様!」
私は堪らず叫んだ。
「大丈夫です。絶対に一ヶ月以内に終わるように頑張りますから。その後はいつも通りの量に戻るはずです」
「いえ、頑張り過ぎないで欲しいのですが……」
頑張りすぎて体調を崩されたら本末転倒だ。
「それなら、今度クッキーを作ってください。リナリアのクッキーがあるだけで元気になりますから」
「……分かりました。作ります」
ずるい。ほんとにずるいと思う。
そんな言葉を言われたら、さっき拒絶されたショックなんて全部吹き飛んで忘れてしまうくらいに嬉しさが心の底から湧いてくるのだから。
「でも、頑張りすぎないでくださいね」
「はい」
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ノエル様は微笑んで頷いた。
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