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17話
しおりを挟む「え……?」
「今までブリジット嬢には多額の金を費やして来たんだぞ!? 今婚約が破断になったらかけた金額はどうするつもりなんだ! 借金までしたんだぞ!」
「そ、そんな……」
サミエルは呆然と呟く。
「侯爵家と婚約できると聞いたから円滑に婚約できるように私はずっと金を援助してきたんだ! このパーティーもそうだ!」
ブリジットはサミエルの家で毎日夜会を開いていた。
夜会には多数の貴族を呼んでおり、その規模の夜会を毎日開いていれば当然サミエルの家の財政は悪くなる。
「それに彼女に与えた宝石やドレスは!? どこに行ったと言うんだ! お前の部屋にあると聞いていたのにどこにも無いじゃないか!」
サミエルの父はクローゼットなどあちらこちらを探し回る。
しかしどこにも宝石やドレスは見つからなかった。
「それは……ブリジットに、そう言えと」
「っ! 馬鹿者がっ!」
サミエルは頬を平手で打たれた。
「借金の返済に当てるつもりだったのに……!」
「も、申し訳ございません……」
サミエルはブリジットの欲しがる物は全ての買い与えていた。
そしえブリジットに心の底から惚れていたサミエルは、その時ブリジットに何を言われても頷き、言葉の裏に隠された真意など考えたことが無かった。
そしてその結果、ブリジットに買い与えたものは、ブリジットに全て奪われた。
「謝って済む問題ではない! このままでは我が伯爵家は──破産してしまうぞ!」
「は、破産!?」
サミエルは驚愕する。
「全てお前のせいだ! お前みたいな出来損ないにブリジット嬢のすべてを任せた私が馬鹿だった!」
出来損ない。
今まで『神童』と呼ばれ、ずっと褒められながら育てられたサミエルにその言葉は深く突き刺さった。
サミエルはその出来損ないという言葉を覆すべく、必死に頭を働かせる。
そしてあるアイデアを思いついた。
「ち、父上! まだ大丈夫です! まだ──エリカとは婚約破棄してませんから!」
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