駒として無能なお前は追放する?ええ、どうぞ?けど、聖女の私が一番権力を持っているんですが?

水垣するめ

文字の大きさ
2 / 3

2話

しおりを挟む

 翌朝、私は日が昇る頃に目を覚した。
 四時間ほどしか寝ていないので寝不足だが、聖女として働かなければならない。
 本来ならここまで働く必要はないのだが、父のアランに名誉を享受するために私にこの時間から働くことを強制されている。

 だから、こんな時間から私は教会へと行かねばならないのだ。
 門の外へ出ても、馬車すら用意はされていない。
 私は徒歩で教会へと向かう。

 教会の扉を開けると、顔見知りが挨拶してきた。

「おはようエミリー。いつも早いわね。さすが『最優』の聖女様」
「ええ、おはよう。レベッカ」

 私に気さくに挨拶してきたのは同じ聖女仲間のレベッカ・トリンソン。同じく貴族出身で聖女のNo.2だ。
 最初の方は私へライバル意識を燃やしていたが、最近はこうして仲良く話すことが増えた。

「今から仕事?」
「ええ、昨日から溜まっているのがあるから」
「そう、大変ね。それにしてもあなた酷い顔色よ。……昨日は何時に寝たの?」
「日付が変わった頃かな」
「なっ! それって全然寝れてないじゃない! また遅くまでやってたの!?」
「いっぱい仕事があったから……」
「バカ! そんなんじゃいつか死んじゃうわよ! いいわ、あなたの分やっておいてあげるから、今から寝てきなさい!」
「いや、そんなの大変じゃ……」
「そんな死にそうな目で言われたくないわ! いいから寝てなさい! No.2の力を信じなさい!」
「……分かった」

 私がそう言うとレベッカは満足そうに頷いた。
 私はフラフラと仮眠室へと向かう。
 レベッカが何か思い出したように私に声をかけた。

「あ、そう言えばあなた宛に手紙がきてたわよ」

 私は一気に目が覚めた。
 その手紙は私がずっと待ち望んでいたものだったからだ。

「そ、それ! どこにあるの!?」
「え、あなたの机に置いてあるけど……」
「ありがとう!」

 私はすぐさま教会に設置されている私の部屋へとむかった。
 扉を開けると、私の机の上に手紙が置かれているのを発見した。
 その手紙を手に取り、まずは宛名を確認する。

(宛名は……王家からだわ!)

 私は早速封を開け中身を読む。

「やった……。やったわ!」

 私は歓喜した。
 その内容は私がずっと求めていたものだったからだ。

『エミリー・ヘミングスを伯爵家として独立することを認む』

 それが王家からの手紙の内容だった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

王子が元聖女と離縁したら城が傾いた。

七辻ゆゆ
ファンタジー
王子は庶民の聖女と結婚してやったが、関係はいつまで経っても清いまま。何度寝室に入り込もうとしても、強力な結界に阻まれた。 妻の務めを果たさない彼女にもはや我慢も限界。王子は愛する人を妻に差し替えるべく、元聖女の妻に離縁を言い渡した。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

聖女の力に目覚めた私の、八年越しのただいま

藤 ゆみ子
恋愛
ある日、聖女の力に目覚めたローズは、勇者パーティーの一員として魔王討伐に行くことが決まる。 婚約者のエリオットからお守りにとペンダントを貰い、待っているからと言われるが、出発の前日に婚約を破棄するという書簡が届く。 エリオットへの想いに蓋をして魔王討伐へ行くが、ペンダントには秘密があった。

冤罪で処刑されることになりましたが、聖女の力で逆に断罪してあげます

霜月琥珀
恋愛
一話で完結します。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。 「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」 と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。

『スキルなし』だからと婚約を破棄されましたので、あなたに差し上げたスキルは返してもらいます

七辻ゆゆ
恋愛
「アナエル! 君との婚約を破棄する。もともと我々の婚約には疑問があった。王太子でありスキル『完全結界』を持つこの私が、スキルを持たない君を妻にするなどあり得ないことだ」 「では、そのスキルはお返し頂きます」  殿下の持つスキル『完全結界』は、もともとわたくしが差し上げたものです。いつも、信じてくださいませんでしたね。 (※別の場所で公開していた話を手直ししています)

処理中です...