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2話
しおりを挟む翌朝、私は日が昇る頃に目を覚した。
四時間ほどしか寝ていないので寝不足だが、聖女として働かなければならない。
本来ならここまで働く必要はないのだが、父のアランに名誉を享受するために私にこの時間から働くことを強制されている。
だから、こんな時間から私は教会へと行かねばならないのだ。
門の外へ出ても、馬車すら用意はされていない。
私は徒歩で教会へと向かう。
教会の扉を開けると、顔見知りが挨拶してきた。
「おはようエミリー。いつも早いわね。さすが『最優』の聖女様」
「ええ、おはよう。レベッカ」
私に気さくに挨拶してきたのは同じ聖女仲間のレベッカ・トリンソン。同じく貴族出身で聖女のNo.2だ。
最初の方は私へライバル意識を燃やしていたが、最近はこうして仲良く話すことが増えた。
「今から仕事?」
「ええ、昨日から溜まっているのがあるから」
「そう、大変ね。それにしてもあなた酷い顔色よ。……昨日は何時に寝たの?」
「日付が変わった頃かな」
「なっ! それって全然寝れてないじゃない! また遅くまでやってたの!?」
「いっぱい仕事があったから……」
「バカ! そんなんじゃいつか死んじゃうわよ! いいわ、あなたの分やっておいてあげるから、今から寝てきなさい!」
「いや、そんなの大変じゃ……」
「そんな死にそうな目で言われたくないわ! いいから寝てなさい! No.2の力を信じなさい!」
「……分かった」
私がそう言うとレベッカは満足そうに頷いた。
私はフラフラと仮眠室へと向かう。
レベッカが何か思い出したように私に声をかけた。
「あ、そう言えばあなた宛に手紙がきてたわよ」
私は一気に目が覚めた。
その手紙は私がずっと待ち望んでいたものだったからだ。
「そ、それ! どこにあるの!?」
「え、あなたの机に置いてあるけど……」
「ありがとう!」
私はすぐさま教会に設置されている私の部屋へとむかった。
扉を開けると、私の机の上に手紙が置かれているのを発見した。
その手紙を手に取り、まずは宛名を確認する。
(宛名は……王家からだわ!)
私は早速封を開け中身を読む。
「やった……。やったわ!」
私は歓喜した。
その内容は私がずっと求めていたものだったからだ。
『エミリー・ヘミングスを伯爵家として独立することを認む』
それが王家からの手紙の内容だった。
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