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2話
しおりを挟む私が慰謝料を払う?
意味がわからない。
「なぜ私が慰謝料を払うのですか? 私は何もしていませんよね?」
私が質問するとジョンは呆れたようにため息をつく。
「はぁ……そんなの君が女性だからに決まっているだろう。なぜ男性である私が慰謝料を払うんだ? 女性である君が男性の私を尊重して慰謝料を払うのは義務じゃないか」
ジョンは至って真面目に質問してくる。
どうやら本当に男性なら慰謝料を払わなくてもいいのだと勘違いしているようだ。
私はジョンに対して閉口していた。
するとジョンは私の肩にポン、と手をおいてまるで駄々をこねている子供を諭すかのように話しかけてきた。
「君には悪いと思っている。私の都合で離婚するんだからね。しかし、義務を嫌だ嫌だと言っていては貴族としてみっともないぞ?」
ハハハ、とジョンは私を馬鹿にして笑う。
さらにジョンの要求はエスカレートしていく。
「ああそれと相続にはこの屋敷もいれてくれ。本当なら土地ごと欲しいところだが、離婚を受け入れてくれたから土地の権利は譲ることにする」
「……」
「ああそれと、君の家の資産も少しばかり欲しい。このあと私が結婚したときの資金にしたいからね。当然受け入れてくれるだろう?」
ジョンは常識外れの要求を次々と突きつけてくる。
私の中でふつふつと怒りが湧いてくるのが分かった。
なぜ浮気されたうえにこちらが慰謝料まで払わなければならないのか。
私は決意した。
ジョンは絶対に許さない。
多額の慰謝料を突きつけたうえで離婚してやる、と。
そう心に決意した私は、貴族らしくにっこりと笑顔を浮かべた。
貴族の笑顔は、戦士の戦闘態勢だ。
「わかりました。ではあなたと女性の馴れ初めを教えてください」
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