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十一話
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「君がヴィルヘイムと男女の仲だという事は知っているよ」
「っ‼︎ーー」
一瞬心臓が止まったかと思う程、驚いた。まさか彼がエリクに話したのだろうかーー。
「違うよ。ヴィルヘイムから聞いた訳じゃないから安心して良いよ。それでさーー」
まるでリーザの心情を読み取った様なエリクの言葉に目を見張る。
すると彼は、急に深刻な面持ちで居住まいを正した。その様子に思わず息を呑む。
「実は……僕って女性からかなりモテるんだよね」
「え?」
一体何を言い出すかと身構えたリーザは、予想外のエリクの言葉に脱力をしてしまう。
「だからさ、若気の至り? って言うのかな? その所為で僕は浮気をしては婚約破棄を繰り返して来たんだ」
「……」
まるで自分は被害者と言わんばかりに、かなり深刻そうに語っているが、ただ単に彼がだらし無いだけにしか思えない。
「ほ、ほら、据え膳食わぬは男の恥とか良く言うだろう? 女性に恥はかかせられないし、それに経験豊富でモテる男の方が格好良いしさ」
リーザからの冷たい視線に気が付いたエリクは慌てて取り繕っている様だが、脈略の無い話と自分本位な内容に、やはり男性なんて皆元婚約者と一緒なのだと幻滅をするだけだった。
女性を自分の欲や自尊心を満たす為の道具としか考えていない。
「でも、それも今日で終わりにしようと思ってね」
「それはーー」
「僕が言うと嘘にしか聞こえないかも知れないけどーーあの夜会の日、僕は君に一目惚れをしたんだ。これまで様々な色恋を経験してきたけど、こんな気持ちになるのは君が初めてなんだ。だからーー」
不意に耳元で「君をヴィルヘイムには渡さない」と囁かれた。
人一人分の間隔を空けて座っていた筈が、何時の間にか隙間なく距離を詰められていた。
その事に驚き、反射的に立ち上がるリーザの腕をエリクは掴むと自らへと強く引っ張る。
「きゃッーー」
小さな悲鳴を上げ彼の身体の上に倒れ込むと、そのまま抱き締められる。
「リーザ……う~ん、甘くて良い匂いがする。それに柔らかくて、気持ちが良い……」
エリクはリーザの首元に顔を埋めると、唇を肌に伝わせていく。
彼の唇と時折り甘噛みをしたり舐めたりとする感覚に、恐怖と嫌悪感を覚えた。
(気持ち悪いーー)
だが耐えなくてはならない。エリクとは、これから夫婦になるのだから。
妻は夫に従順でなくてはならない。絶対に逆らってはいけない。
実母もそうだった。
どんなに辛くても悲しくても苦しくても、ずっとずっと耐えていた。耐えて耐えて耐えてーー死んで逝った。
「リーザ……リーザッ、あぁ可愛い……早く君の中に入りたいよ。あぁ、もう僕……我慢出来ないっ‼︎ーー」
瞬間、視界が揺らぎ気が付いた時にはベッドに組み敷かれていた。
エリクはリーザが動けない様に頭上で両手を纏め上げると左手で固定する。右手をリーザの胸元へと伸ばし寝衣に手を掛けた。
(もう、いいやーー)
その瞬間、諦めに似た覚悟を決めたリーザは目を閉じた。
寝衣がずらされ、空気に晒された肌が冷んやりとする。
エリクの手が弄る様にしてゆっくと首や鎖骨を伝い胸元へと到達すると、彼はリーザの乳房に顔を埋めた。右側を片手で揉みしだきながら、もう一方の乳房の蕾を舌を使い愛撫する。
次第に彼の息遣いは荒くなっていき、身体を這う様にして手が下へと伸びてきた。その手は寝衣の下の隙間から侵入すると徐に秘部に触れた。
「あれ、余り濡れてないね。でもまあ、ヴィルヘイムのものを何度も出し挿れしていたんだから平気だよね?」
金属の音が耳に響いた直後、熱くて固いものが腿に触れた。
少し濡れて滑っているのが分かる。
彼は自身をリーザの秘部に押し付けると擦り付け始める。いやらしい水音と共に先程とは比べ物にならないくらい興奮した様子のエリクの息遣いが聞こえた。
「はぁ、はぁッ……気持ちッ……。もう、良いよねーー挿れるよッ」
不快感と恐怖で、頭が真っ白になったーー。
『リーザ』
「っーー」
瞬間脳裏にヴィルヘイムの顔が浮かび、心臓が張り裂けそうなくらい苦しくなる。
(やっぱり、嫌っ‼︎ーー)
我ながら往生側が悪いと思う。
淑女失格だ。
莫迦で愚かでどうしようもない。
だが嫌だ。
これまでずっと我慢を強いられる人生だったのだからーー。
(一度くらい我儘を通してもーー良いよね)
「っ‼︎ーー」
一瞬心臓が止まったかと思う程、驚いた。まさか彼がエリクに話したのだろうかーー。
「違うよ。ヴィルヘイムから聞いた訳じゃないから安心して良いよ。それでさーー」
まるでリーザの心情を読み取った様なエリクの言葉に目を見張る。
すると彼は、急に深刻な面持ちで居住まいを正した。その様子に思わず息を呑む。
「実は……僕って女性からかなりモテるんだよね」
「え?」
一体何を言い出すかと身構えたリーザは、予想外のエリクの言葉に脱力をしてしまう。
「だからさ、若気の至り? って言うのかな? その所為で僕は浮気をしては婚約破棄を繰り返して来たんだ」
「……」
まるで自分は被害者と言わんばかりに、かなり深刻そうに語っているが、ただ単に彼がだらし無いだけにしか思えない。
「ほ、ほら、据え膳食わぬは男の恥とか良く言うだろう? 女性に恥はかかせられないし、それに経験豊富でモテる男の方が格好良いしさ」
リーザからの冷たい視線に気が付いたエリクは慌てて取り繕っている様だが、脈略の無い話と自分本位な内容に、やはり男性なんて皆元婚約者と一緒なのだと幻滅をするだけだった。
女性を自分の欲や自尊心を満たす為の道具としか考えていない。
「でも、それも今日で終わりにしようと思ってね」
「それはーー」
「僕が言うと嘘にしか聞こえないかも知れないけどーーあの夜会の日、僕は君に一目惚れをしたんだ。これまで様々な色恋を経験してきたけど、こんな気持ちになるのは君が初めてなんだ。だからーー」
不意に耳元で「君をヴィルヘイムには渡さない」と囁かれた。
人一人分の間隔を空けて座っていた筈が、何時の間にか隙間なく距離を詰められていた。
その事に驚き、反射的に立ち上がるリーザの腕をエリクは掴むと自らへと強く引っ張る。
「きゃッーー」
小さな悲鳴を上げ彼の身体の上に倒れ込むと、そのまま抱き締められる。
「リーザ……う~ん、甘くて良い匂いがする。それに柔らかくて、気持ちが良い……」
エリクはリーザの首元に顔を埋めると、唇を肌に伝わせていく。
彼の唇と時折り甘噛みをしたり舐めたりとする感覚に、恐怖と嫌悪感を覚えた。
(気持ち悪いーー)
だが耐えなくてはならない。エリクとは、これから夫婦になるのだから。
妻は夫に従順でなくてはならない。絶対に逆らってはいけない。
実母もそうだった。
どんなに辛くても悲しくても苦しくても、ずっとずっと耐えていた。耐えて耐えて耐えてーー死んで逝った。
「リーザ……リーザッ、あぁ可愛い……早く君の中に入りたいよ。あぁ、もう僕……我慢出来ないっ‼︎ーー」
瞬間、視界が揺らぎ気が付いた時にはベッドに組み敷かれていた。
エリクはリーザが動けない様に頭上で両手を纏め上げると左手で固定する。右手をリーザの胸元へと伸ばし寝衣に手を掛けた。
(もう、いいやーー)
その瞬間、諦めに似た覚悟を決めたリーザは目を閉じた。
寝衣がずらされ、空気に晒された肌が冷んやりとする。
エリクの手が弄る様にしてゆっくと首や鎖骨を伝い胸元へと到達すると、彼はリーザの乳房に顔を埋めた。右側を片手で揉みしだきながら、もう一方の乳房の蕾を舌を使い愛撫する。
次第に彼の息遣いは荒くなっていき、身体を這う様にして手が下へと伸びてきた。その手は寝衣の下の隙間から侵入すると徐に秘部に触れた。
「あれ、余り濡れてないね。でもまあ、ヴィルヘイムのものを何度も出し挿れしていたんだから平気だよね?」
金属の音が耳に響いた直後、熱くて固いものが腿に触れた。
少し濡れて滑っているのが分かる。
彼は自身をリーザの秘部に押し付けると擦り付け始める。いやらしい水音と共に先程とは比べ物にならないくらい興奮した様子のエリクの息遣いが聞こえた。
「はぁ、はぁッ……気持ちッ……。もう、良いよねーー挿れるよッ」
不快感と恐怖で、頭が真っ白になったーー。
『リーザ』
「っーー」
瞬間脳裏にヴィルヘイムの顔が浮かび、心臓が張り裂けそうなくらい苦しくなる。
(やっぱり、嫌っ‼︎ーー)
我ながら往生側が悪いと思う。
淑女失格だ。
莫迦で愚かでどうしようもない。
だが嫌だ。
これまでずっと我慢を強いられる人生だったのだからーー。
(一度くらい我儘を通してもーー良いよね)
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