冷徹王太子の愛妾

月密

文字の大きさ
上 下
33 / 78

三十二話(閲覧注意)

しおりを挟む


「んっ……」

 温もりが逃げていく感覚に、ベルティーユはゆっくりと目を開けた。

「す、すまない、起こしてしまったな」
「レアンドル、さま……?」

 まだ覚醒しきらない頭で彼が離れて行ってしまうと漠然と思い寂しさから思わずしがみついた。

「ベルティーユ……」

 目を丸くするレアンドルに、迷惑なのだと分かりおずおずと身体を離そうとすると彼は抱き締め触れるだけの口付けをしてくれた。

「身体は平気か?」
「はい……」
「無理はしなくて良い。俺はこれから出掛けなくてはならないが、君はゆっくり過ごしていろ。ヴェラに湯浴みの支度をさせておく。それまではまだ寝ているといい」

 もう一度触れるだけの口付けをして、それだけ言うとレアンドルは部屋を出て行ってしまった。ベルティーユは一気にしゅんとなるが、彼が多忙な事は理解しているので致し方がないと我慢する。


「っ⁉︎」

 レアンドルからはもう少し寝ている様に言われたが、自分だけだらけている訳にはいかないと身体を起こそうとするも、余りの気怠さに起き上がる事が出来ずベッドに逆戻りしてしまった。

「……ダメ、動けないみたい」

 更にそれだけではなく、下半部に違和感を感じて手を添える。思い出すだけで奥がきゅっと疼く気がした。

(私、本当にレアンドル様と……)

 改めて実感するとまた羞恥心が込み上げてくると同時に嬉しくなる。
  
 起きるつもりだったが身体の怠さも手伝いまた眠気に襲われたベルティーユは、まだ仄かに彼の匂いが残るベッドや枕に身体を擦り寄せ瞳を伏せた。

 


◆◆◆


 不審に思われてしまっただろうか……。

 ベルティーユが目を覚ます少し前ーーレアンドルはベルティーユより先に目を覚ました。繋がったままで寝ていた為、無論そのままの状態だった。
 数時間前にしたばかりだというのに、即座にレアンドルの陰茎は元気を取り戻し彼女のなかで怒張し固くなった。流石にまずいと思い慌てて引き抜くと、彼女のなかからドロりと白濁した液体が溢れてきた。思わず喉を鳴らしレアンドルは見入ってしまう。
 自分の出した精子が彼女の身体から溢れている……そんな淫猥な光景に言い知れぬ喜びと、彼女を自分のものにしたという事実に昂りが抑えきれない。レアンドルは気付けば彼女の秘部に手を伸ばし指を挿れていた。
 溢れ出てしまった精子を押し戻す様にして指で蓋をし、ぐちゅぐちゅっと水音を立てながらゆっくりと掻き混ぜる。

「う、んっ……」

 僅かに開いた彼女の唇から愛らしい声が洩れ、一瞬心臓が跳ね手を止めた。だがまだぐっすりと眠っている。此処で止めなくては……頭ではそう分かってはいるが理性が働かない。
 自分の下半部に視線を向ければ、陰茎は先程よりも更に大きく膨らみ固く反り上がっていた。もう一度、このまま彼女のなかに挿入出来ればどんなにいいか……。だが己の欲の為に彼女の身体に負担は掛けられない。されどこんな状態のままでは、情けないが服もまともに着る事は出来ないだろう……。自業自得だが処理はしなくてはならないと、逆手で陰茎を握り擦り始めた。

「ベルティーユっ、はぁっ…、うッ……ベル、ティーユッ」
「ん、ぁ……」

 彼女の寝顔を見ながらなかを弄り、己の陰茎を扱く。
 眠っているのにも関わらず時折りベルティーユの唇からは甘い声が洩れ、レアンドルの興奮は最高潮に達した。

 
 その直後ベルティーユが目を覚まし、レアンドルは何事もなかった様に平静を装いながらガウンを羽織り部屋を出た。

 湯浴みを済ませ、寝室は使えないので執務室で支度を済ませているとやたらとホレスからの視線を感じた。思わず顔を顰める。

「何だ。何か言いた気だな」
「いえ、その様な事は」
「……あぁ、そうだ。ベルティーユが目を覚ましたら、シーツなどは全てヴェラに交換する様に言ってくれ」

 レアンドルの意図を即座に理解したホレスは含み笑いをする。それが無性に腹が立つ。こんな風に言えば自分の稚拙な考えがホレスにバレてしまうと分かっていたが、それでも譲れなかった。
 普段レアンドルの寝室のシーツ交換や清掃などは全てホレスに任せている。だが今日はレアンドルのベッドをベルティーユも使用した。それだけでもシーツなどにはきっと彼女の匂いや温もりが移っている筈だ。そんな中、そのベッドで昨夜は彼女とまぐわったのだ。シーツには彼女の破瓜の痕や愛液などがたっぷりと染み込んでいる。幾らホレスだろうが、他の男に触れさせるなど絶対に許せる筈がない。

「承知致しました」

 未だ自分のベッドで眠っているベルティーユを想像し、もう少し彼女とゆっくり過ごしたかったと内心溜息を吐く。だがそうも言っていられないのが実情だ。

「夕刻には戻る」

 レアンドルは邪念を振り払い気持ちを切り替え馬車に乗り込むと、フォートリエ家へと向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『別れても好きな人』 

設樂理沙
ライト文芸
 大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。  夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。  ほんとうは別れたくなどなかった。  この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には  どうしようもないことがあるのだ。  自分で選択できないことがある。  悲しいけれど……。   ―――――――――――――――――――――――――――――――――  登場人物紹介 戸田貴理子   40才 戸田正義    44才 青木誠二    28才 嘉島優子    33才  小田聖也    35才 2024.4.11 ―― プロット作成日 💛イラストはAI生成自作画像

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

【完結】彼女はまだ本当のことを知らない

七夜かなた
恋愛
騎士団の受付係として働くタニヤは実家を助けるため、女性用のエロい下着のモニターのバイトをしていた。 しかしそれを、女性関係が派手だと噂の狼獣人の隊長ランスロット=テスターに知られてしまった。 「今度俺にそれを着ているところを見せてよ」 彼はタニヤにそう言って、街外れの建物に連れて行った。

【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。

airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。 どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。 2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。 ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。 あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて… あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?

氷麗の騎士は私にだけ甘く微笑む

矢口愛留
恋愛
 ミアの婚約者ウィリアムは、これまで常に冷たい態度を取っていた。  しかし、ある日突然、ウィリアムはミアに対する態度をがらりと変え、熱烈に愛情を伝えてくるようになった。  彼は、ミアが呪いで目を覚まさなくなってしまう三年後の未来からタイムリープしてきたのである。  ウィリアムは、ミアへの想いが伝わらずすれ違ってしまったことを後悔して、今回の人生ではミアを全力で愛し、守ることを誓った。  最初は不気味がっていたミアも、徐々にウィリアムに好意を抱き始める。  また、ミアには大きな秘密があった。  逆行前には発現しなかったが、ミアには聖女としての能力が秘められていたのだ。  ウィリアムと仲を深めるにつれて、ミアの能力は開花していく。  そして二人は、次第に逆行前の未来で起きた事件の真相、そして隠されていた過去の秘密に近付いていき――。 *カクヨム、小説家になろう、Nolaノベルにも掲載しています。

夜這いを仕掛けてみたら

よしゆき
恋愛
付き合って二年以上経つのにキスしかしてくれない紳士な彼氏に夜這いを仕掛けてみたら物凄く性欲をぶつけられた話。

処理中です...