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プロローグ
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「あのさ、1年B組の中島さんだよね?」
恋に落ちる時ってこんな簡単にくるものなのだろうか
「あなたは......」
彼女は振り向いて少し驚いたが、なぜか笑みを浮べた。
偶然だった。俺は寄り道をするのが好きで、いつも駅まで最短ルートを通らず堤防沿いに遠回りして駅を目指す。理由は簡単なにもすることがなく時間に焦っていたから、そしてこのルートのほうが気持ちいからだ。
すると俺を中島が自転車で抜いて行った。
彼女とは同じクラスではないが、噂で何度も聞いていた。
モデル、だという。
同級生でモデルとしてデビュー済み。グラビアまで出してる別次元の人間だった。
また彼女はとてつもない美人で、人を寄せ付けないクールな性格であり、いつ見かけても1人で周囲から浮いているというのが気になる理由としては十分過ぎる要素だった。
だから彼女の写真集(グラビアは見てない)を見てみた。そして率直な感想として素晴らしいスタイルと体つきをしていると思った。
俺はいつしか彼女に声をかけてみたいと思うようになっていた。
しかし彼女は1人でいても注目の的だ。普段から誰とも話していないから話しかけに行こうものなら物凄く注目されることになる。メンタルの弱い俺は想像するだけで引き腰になり、迷って結局いつも『今日はやめとおこう』となってしまうのだ。
そんな時に訪れたのは偶然だった。
俺を追い抜いた彼女は道の脇に自転車を止め、堤防階段を上っていった。
どうやら川を眺めたいようだ。
周囲には誰もおらず、話しかけるには絶好の機会ーこんなチャンスもう二度とないと思った。動悸は激しくなり、手汗が滲んできたので『今日はやめとおこう』と決断しかけた自分を叱咤し、ようやく話しかけることができたのが冒頭のセリフであった。
「1年F組の青山くん、だったかしたら」
「えっ...!?」
驚いて声が出てしまった。成績も容姿も平凡な俺を、まさか彼女が知っているとは思わなかった。
「あら違った?」
「あっ、いや!そ、その、そう!俺は青山!F組の青山葵!よく俺のこと知ってたね!」
「私、同級生くらいの人なら顔と名前大体一致するから」
流石高校1年生で頭脳明晰の才女、言うことが違う。
「それで...何かしら?」
彼女の美しい黒髪が風でなびく。
だが見とれてはいけない。彼女はクールで有名なのだ。惚けでもしていたらー
『用もないのに声をかけてきたの?まったくばかにしているわね。私はショーウィンドウのお人形さんじゃないのよ冷ややかしなら帰ってくれないかしら?』
なんて言葉を容赦なくぶつけられるのがおちだ。ぞな風に突っぱねられて、へこんでいる男子生徒を校内で何度も見かけていた。形のいい唇が、俺をへこまそうかと今か今かと待ち受けているようだった。俺は不純な気持ちじゃないと自分を励まし、一気に吐き出した。
「ー写真集、みたんだ」
彼女はまぶたをピクリと動かした。
「....私の?」
あわわ、やばいやつだよこれ不純なやつだと思われちゃってるよ。そんな事を考えながらもなんとか言葉を返した。
「そう、中島さんの」
彼女は一旦呼吸を起き、上目遣いで聞いてきた
「感想、聞いていいかしら?」
俺は1回みた写真集を脳内で反芻した。
1枚目と2枚目は前から胸を大きく見えるように撮ってて3枚目~6枚目までは彼女の可愛い顔が印象に残るように撮っていたな...
...まてよ?なんで俺はこんなに正確に覚えているんだ...?別に不純な気持ちとかないからね!???
俺は衝動に任せて率直な思いを告げた。
「すごく良かった。感動した」
小学生のような適当な感想のようになってしまったが彼女の反応は...想像以上に喜んでくれたみたい。目尻にはうっすりと涙が溜まっていた。彼女は冷血とさえ言われるそのクールな表情を崩しニッコリ微笑んだ。
「ありがとう。あなたにそう言われて本当に嬉しい。今まで頑張ってきて....本当に良かったわ」
それから特に話すこともなく、彼女との会話は終わった。
俺はずっと伝えたかったことが言えた喜びと満足感を覚えていた。なんとなくだが彼女の笑顔が頭に残り続けた。
そんな所からもゔ毒"は回っていた。
最初は気付かない、けど気づいた時には毒は完全に回りきってる。これが初恋ってやつだ。
俺はこの初恋の毒でダメージを追っていく。
高校一年生の冬だった。
恋に落ちる時ってこんな簡単にくるものなのだろうか
「あなたは......」
彼女は振り向いて少し驚いたが、なぜか笑みを浮べた。
偶然だった。俺は寄り道をするのが好きで、いつも駅まで最短ルートを通らず堤防沿いに遠回りして駅を目指す。理由は簡単なにもすることがなく時間に焦っていたから、そしてこのルートのほうが気持ちいからだ。
すると俺を中島が自転車で抜いて行った。
彼女とは同じクラスではないが、噂で何度も聞いていた。
モデル、だという。
同級生でモデルとしてデビュー済み。グラビアまで出してる別次元の人間だった。
また彼女はとてつもない美人で、人を寄せ付けないクールな性格であり、いつ見かけても1人で周囲から浮いているというのが気になる理由としては十分過ぎる要素だった。
だから彼女の写真集(グラビアは見てない)を見てみた。そして率直な感想として素晴らしいスタイルと体つきをしていると思った。
俺はいつしか彼女に声をかけてみたいと思うようになっていた。
しかし彼女は1人でいても注目の的だ。普段から誰とも話していないから話しかけに行こうものなら物凄く注目されることになる。メンタルの弱い俺は想像するだけで引き腰になり、迷って結局いつも『今日はやめとおこう』となってしまうのだ。
そんな時に訪れたのは偶然だった。
俺を追い抜いた彼女は道の脇に自転車を止め、堤防階段を上っていった。
どうやら川を眺めたいようだ。
周囲には誰もおらず、話しかけるには絶好の機会ーこんなチャンスもう二度とないと思った。動悸は激しくなり、手汗が滲んできたので『今日はやめとおこう』と決断しかけた自分を叱咤し、ようやく話しかけることができたのが冒頭のセリフであった。
「1年F組の青山くん、だったかしたら」
「えっ...!?」
驚いて声が出てしまった。成績も容姿も平凡な俺を、まさか彼女が知っているとは思わなかった。
「あら違った?」
「あっ、いや!そ、その、そう!俺は青山!F組の青山葵!よく俺のこと知ってたね!」
「私、同級生くらいの人なら顔と名前大体一致するから」
流石高校1年生で頭脳明晰の才女、言うことが違う。
「それで...何かしら?」
彼女の美しい黒髪が風でなびく。
だが見とれてはいけない。彼女はクールで有名なのだ。惚けでもしていたらー
『用もないのに声をかけてきたの?まったくばかにしているわね。私はショーウィンドウのお人形さんじゃないのよ冷ややかしなら帰ってくれないかしら?』
なんて言葉を容赦なくぶつけられるのがおちだ。ぞな風に突っぱねられて、へこんでいる男子生徒を校内で何度も見かけていた。形のいい唇が、俺をへこまそうかと今か今かと待ち受けているようだった。俺は不純な気持ちじゃないと自分を励まし、一気に吐き出した。
「ー写真集、みたんだ」
彼女はまぶたをピクリと動かした。
「....私の?」
あわわ、やばいやつだよこれ不純なやつだと思われちゃってるよ。そんな事を考えながらもなんとか言葉を返した。
「そう、中島さんの」
彼女は一旦呼吸を起き、上目遣いで聞いてきた
「感想、聞いていいかしら?」
俺は1回みた写真集を脳内で反芻した。
1枚目と2枚目は前から胸を大きく見えるように撮ってて3枚目~6枚目までは彼女の可愛い顔が印象に残るように撮っていたな...
...まてよ?なんで俺はこんなに正確に覚えているんだ...?別に不純な気持ちとかないからね!???
俺は衝動に任せて率直な思いを告げた。
「すごく良かった。感動した」
小学生のような適当な感想のようになってしまったが彼女の反応は...想像以上に喜んでくれたみたい。目尻にはうっすりと涙が溜まっていた。彼女は冷血とさえ言われるそのクールな表情を崩しニッコリ微笑んだ。
「ありがとう。あなたにそう言われて本当に嬉しい。今まで頑張ってきて....本当に良かったわ」
それから特に話すこともなく、彼女との会話は終わった。
俺はずっと伝えたかったことが言えた喜びと満足感を覚えていた。なんとなくだが彼女の笑顔が頭に残り続けた。
そんな所からもゔ毒"は回っていた。
最初は気付かない、けど気づいた時には毒は完全に回りきってる。これが初恋ってやつだ。
俺はこの初恋の毒でダメージを追っていく。
高校一年生の冬だった。
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