伯爵令嬢が効率主義の権化になったら。 〜第二王子に狙われてるので、セシリアは口で逃げてみせます〜

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セシリア、第2王子と初バトル

第3話 スパルタ教育者からの教え(1)

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 全く心配していない。
 言葉と態度、両方でそれを示してみせた彼女にレガシーは少なからず驚いた。


 言葉尻は柔らかいが、言ってる事は意外と辛辣。
 自分に対しては勿論そうだが、人に対しても案外厳しさの基準も高い。

 それが、レガシーから見た彼女の印象だ。

 だからといって別に他人に自分のものさしを押し付けるような事はしないが、話していると確かに彼女のものさしのハードルは高いと分かる。
 そんな感じだ。


 だからこそ、まず彼は「彼女も人を褒める事があるのか」と驚いた。

 そして次に「その言葉をセシリア嬢から引き出せる程に、彼は優秀なのか」と思った。
 だから彼に視線を向ける。



 一方、突然話題に挙げられたゼルゼンは、内心ではドキドキしながらも必死にポーカーフェイスを装いつつ、話の推移を見守っていた。

 そんな状態でもどうにかボロが出なかったのは、ほぼ間違いなくマルクによるスパルタ教育のお陰だろう。
 『執事たるもの、いつでもどこでも感情を表に出してはなりません。常に冷静に、事に当たりなさい』
 それが教えの最たるもので、もう既に骨の髄まで染み込んでいる。

 
 そんな彼が、セシリアの口からサラリと飛び出した褒め言葉と、レガシーからの明確な興味の視線を前にして、背中に変な汗をかきつつ一呼吸置いた。
 そしてレガシーの視線に答えるために体ごと向き直り、スッとまっすぐ姿勢を正す。


 するとそんな二人の空気感を読んで、セシリアが二人のスムーズに二人の間を取り持った。

「レガシー様、こちらはゼルゼン。私付きの執事です」
「セシリア様がいつもお世話になっております、セシリア様付きの専属執事をおおせつかっております、ゼルゼンと申します」

 セシリアの言葉に続いて、ゼルゼンが執事の礼を取る。


 礼も、既に体に染み付いた形だ。

 使用人の礼に華は必要ない。ただ洗練されたものであれ。
 そんな教えに従って、姿勢から指先一つに至るまで最新の注意を払う。
 
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●本作の続編はこちらから。
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伯爵令嬢が効率主義の権化になったら。 〜狙う第二王子、逃げるセシリア〜

●この作品の前編(第2部)は、こちらから。
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伯爵令嬢が効率主義の権化になったら 〜厄介事(第二王子と侯爵子息)が舞い込んできたので、適当にあしらいました〜
セシリア(10歳)が、社交界デビューをきっかけに遭遇した様々な思惑と面倒事を『効率的』に解決していくウィニングストーリー。

●この作品の裏話を読みたい方は、こちらから。
 ↓ ↓ ↓
【裏話】伯爵令嬢が効率主義の権化になったら。
本作の設定秘話や執筆の裏話などを書き連ねています。
※一部ネタバレを含みます。

●主人公・セシリアの幼少期(第1部)から読みたい方は、こちらから:
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幼伯爵令嬢が、今にも『効率主義』に目覚めちゃいそうですよ。
セシリア(4歳)が様々なチャレンジの中で『効率的な生き方』について学んでいく成長ストーリー。 
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