伯爵令嬢が効率主義の権化になったら。 〜第二王子に狙われてるので、セシリアは口で逃げてみせます〜

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セシリア、第2王子と初バトル

第1話 セシリアには「変」がいっぱい(2)

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「知識を集める事は一種の趣味ですから。貴族令嬢として、趣味に走ることは何も変な事ではないでしょう?」
「それにしたって特殊な趣味過ぎるよ。そんなものが趣味になるなんて話、少なくとも僕は聞いたことが無いよ」

 まるで当たり前のように「趣味だ」と宣ったセシリアに、レガシーは思わずといった感じで「やっぱり変だよ」と呆れ気味なため息をつく。
 しかしセシリアは、別に謀ろうとしてそんな事を言った訳ではないのだ。
 だから「何が?」と小首を傾げる。


 そんな彼女を前にして俺はすぐさま白旗をあげた。

(これはもう、そういう物だと思うしか無い)

 例えば僕が『鉱物』に対して並々ならぬ興味を抱くのと同じように、彼女は『様々な知識』に対してそうなのだろう。
 ならば仕方がない。

 そんな風に、どうにか自分を納得させる。

 しかし彼女の変わったところは他にもあるのだ。

「あと、貴族としての自覚の高さ」
「自覚が高くて一体何がいけないのです?」
「高くて悪い事は無いけど、君の場合は自覚が年齢に釣り合ってないんだよ。だからどうしたって周りと足並みがズレる」

 足並みがズレれば、どうしたって目立つ。

 レガシーがそう言うとそれには少なからず自覚があったのか、これには一定の理解を示した。
 「なるほど」と感心した様に呟く彼女に、俺は最後の極めつけを指摘した。

「あと、この年で常時社交に連れているその執事」
「――ゼルゼン?」

 そう言われ、セシリアは後ろの従者を振り返る。


 セシリアの視線に誘われるようにレガシーも彼へと目を向ければ、そこにはいつも通り彼女の後ろに付き従う、静かな従者の姿があった。

 素直に驚きを顔に出しているセシリアに比べ、彼は見事に職務を全うしていた。
 突然話の引き合いに出されても顔色一つ変えず、全く動じた様子も無い。

(本当に躾の行き届いた執事だ。でも)

 彼という存在がセシリアの「変さ」加減に拍車をかけていることは間違いない。

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●本作の続編はこちらから。
 ↓ ↓ ↓
伯爵令嬢が効率主義の権化になったら。 〜狙う第二王子、逃げるセシリア〜

●この作品の前編(第2部)は、こちらから。
 ↓ ↓ ↓
伯爵令嬢が効率主義の権化になったら 〜厄介事(第二王子と侯爵子息)が舞い込んできたので、適当にあしらいました〜
セシリア(10歳)が、社交界デビューをきっかけに遭遇した様々な思惑と面倒事を『効率的』に解決していくウィニングストーリー。

●この作品の裏話を読みたい方は、こちらから。
 ↓ ↓ ↓
【裏話】伯爵令嬢が効率主義の権化になったら。
本作の設定秘話や執筆の裏話などを書き連ねています。
※一部ネタバレを含みます。

●主人公・セシリアの幼少期(第1部)から読みたい方は、こちらから:
 ↓ ↓ ↓
幼伯爵令嬢が、今にも『効率主義』に目覚めちゃいそうですよ。
セシリア(4歳)が様々なチャレンジの中で『効率的な生き方』について学んでいく成長ストーリー。 
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