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第3話 ゲロ甘国王、だったらしい。(2)
しおりを挟む「その乱入を、陛下はお止めにはならなかったのですか?」
「『公の場では無いから許してやってくれ』と」
「ゲロ甘ですね」
お母様、おそらくかなり怒っているのだろう。
まぁ反省するどころか原因を擦り付けに乱入してきた息子相手にその対応なのだから、腹が立つのは仕方がない。
これがこちらを侮っての事ではなく、ただの子供贔屓だと分かっているだけまだマシだ。
王族と私的な交流があったおかげで、陛下の為人を知る機会に恵まれていた事が幸いした。
そうでなければ、お母様のお怒りは今以上に大変な事になっていたに違いない。
「だがまぁ、予定していた権利云々は全て受け取る事ができた。結果は上々だ」
お父様がそういうと、お母様の機嫌がパッと良くなった。
「あらそう。ならば新しい領地、早く視察に行かなければね」
「お前はあそこの採れたて特産をお腹いっぱい食べたいだけだろう?」
「あら、自領の特産品の美味しさを知っておく事はとても大事よ?」
相変わらず仲の良い夫婦だな。
自分の両親にそんな感想を抱きながら、私はまた一口夕食を口に運ぶ。
と、ここで思い出した。
「ところでお父様。社交は当分欠席しますが、学校の方はどういたしましょう?」
学校とは、子供達が知識や技術(スキル)を身につけるために通う学び舎だ。
一部平民も通っているが貴族の子女が圧倒的に多いため、やはり行けば噂が聞こえてくるだろう。
「どちらでも良いが、行きたいのか?」
「えぇ、せっかく今まで皆勤賞ですし」
ここ10日間は学校は休みだった。
平民学生にとってはちょっとした連休、貴族学生にとっては社交という名のお仕事の時間だ。
しかしそれも明日で終わり、明後日からは授業が再開される予定だ。
「噂があるからといって休めば『婚約破棄にショックを受けている』なんてデマまで流れてしまいそうですし、殿下が今回の件を私のせいにしたいのならば、それこそ堂々と表に出ていなければ」
「……アレがまた、変な事をしなければ良いが」
「……祈っていてください、お父様お母様」
今後起きるかもしれないトラブル。
その可能性を想像するだけでどうにもドッと疲れてしまう。
だから切実に両親へと訴えて、本気で祈る約束を私は2人から取り付けたのだった。
あとは両親とご先祖様の加護が得られる事を祈るばかりだ。
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