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教会でする大事な話編
第43話 俺の恩恵、こっそり増殖。(2)
しおりを挟む白く発光するその紙は、神聖魔法で清められた特殊なもの。
施された祝福の光に反応し、受け取り手の魔力を吸ってスキルを映し出す代物だ……という説明を、一度目の儀式のときに聞いた気がする。
受け取った紙を見ると、ちょうど光る文字が浮き出初めている所だった。
読んでみると、前より二つも恩恵が増えている。
――――
<祝福による恩恵取得>
●魔剣士
●調停者
●破壊者
●幸運
――――
……否、よく見たら『剣士』が『魔剣士』に変化している。
確かに恩恵を受けた後、レングラムから魔物を倒すためのスキルとして魔法と剣の併用術を伝授されてる。
元々『魔剣士』という恩恵はメジャーなのでどんな効果があるのかも何となく分かるし、変化した理由も分かるので感想は「へー」という感じだった。
が、恩恵が二つも新たに増えているのには驚いた。
「あのー……」
「何でしょう?」
「二度目以降の祝福で前回より複数恩恵が増えるのって、結構ザラにある事ですかね……?」
気付けばそう聞いていた。
すると神父は柔和な顔で「うーん」と少し言葉を濁す。
「個人差がある事なので一概には言えませんが、祝福を受けた回数に関わらず、以前の祝福以降にまったく別の道を歩んだ方や厳しい試練を越えた方には、例えば複数の恩恵が増える事が多いようです。まぁ勿論そんな経験をされる方自体、そう多くはありませんが」
そう言ってちょっと困ったように笑った神父に対し、俺も思わず苦笑しながら「まぁそうですよね」と言葉を返す。
先程クイナに言った通り、恩恵は『行い』によって増える事がある。
が、だからと言ってそう簡単に増えるという訳じゃ無い。
「因みに恩恵が与える効果って、どうすれば分かりますかね?」
「更なる鑑定でも知る事は可能ですが、それだと別途お布施が必要になってしまいます。過去に出た事のある恩恵に関しては教会内に安置された『恩恵辞典』に記載がありますので、一度そちらを見てみると良いですよ?」
その受け答えに、俺は「なるほど」と感心した。
今まで俺は「教会というのは何かにつけて金をとる守銭奴だ」というイメージを持っていたが、少なくとも目の前の彼はそうじゃないらしい。
でなければ、こんな良心的な提案はしてくれない事だろう。
よし、あとで一度読んでみるか。
そう思っていると彼が「辞典は持ち出し不可ですが、断りさえしていただければ、いつでも何度でも見ていただく事は可能です」と教えてくれた。
お礼を言えば、慈愛に満ちたような笑顔が向けられて何だかとても眩しく思える。
と、その時だ。
クイナにクイッと上着の裾を引っぱられ、俺はそちらに目を向ける。
すると困り顔のクイナが俺に紙を渡しながら催促してきた。
「アルドー、何書いてるか分からないのー……」
「あぁそうか、まだ文字の読み方教えてなかったな。えーっとどれどれ……」
言いながら受け取って、クイナの恩恵に目を通してみる。
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