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さぁ冒険に出てみよう編
第34話 爆散スライム、泣いたクイナ(2)
しおりを挟む本当は狩猟の相棒にもなれて躾けられる犬なんかがベストだが、スライムならば子供でも簡単に捕まえられるし、脅威度も低い。
その上餌に困る事も少ないから、飼う負担も少なく楽に愛でられるという利点だってある。
だから初めてのペットにスライムを拾い、親に隠れて育てたりしている子供も居る……というのはシン情報だ。
クイナが同じような事をしようと考えても、特におかしな話じゃないだろう。
しかし、もしそうならばこれは悲劇だ。
だってこれから仲良くしたかった相手が、ちょっと言い難いがその……まさかの爆散した訳だから。
あぁ、一体なんて言って慰めれば良いんだ。
「今回は縁が無かったんだろう」?
「他にもスライムは居るさ」?
……どうしよう、なんか好いた相手に振られた友達に掛けるような言葉しか思い浮かばないんだけど。
そんな風に思っていると、クイナがグリスと鼻をすすった。
見れば顔から、ポタポタとしずくが落ちている。
……泣いている。
や、やっぱり『ペット』が正解かーっ!!
えっ、どうする? どうする?! どうすればいい?!
何て言って慰める?
そう思った時だった。
「せっかくの甘くておいしいクイナのが……」
「は?」
あまりにも予想の斜め上を行く言葉に、俺は思わず声を上げた。
「スライム、楽しみにしてたのに……」
グスリ。
そんな風に鼻を鳴らして泣く彼女に、俺は呆然としながら思う。
『甘くておいしい』って……え、スライムって食べられるの? と。
まぁ確かに、オークだってあんなに美味しい串焼きになったんだから、別に魔物が食用として用いられる事に疑問は無い。
が、スライムが食べられるっていう話は、俺は聞いた事が無い。
でもクイナは真面目に食べる事を夢見てたみたいだし……。
「いやまぁ、とりあえず体洗うか」
確かすぐ近くに川が流れていた筈だ。
とりあえずそこでクイナを洗って……。
そう思いながらへたり込んだクイナに手を差し出せば、彼女は涙声で「うん」と頷き手を握って立ち上がる。
因みに「スライムが本当に食用に出来るのか」は、後でちゃんと調べようと思う。
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