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とある商人との出会い編
第18話 一方その頃母国では その2(2)
しおりを挟むそうなると、だ。
「なぁ。期日の再訂、すると思うか?」
「しないだろ。上の連中はメンツとか体裁とかそういうの大好きだから」
誰かがそう言い、みんなしてため息を吐いた。
そうなれば、この先ギリギリになってアレ関係で「急いで処理しろ!」と上から言われる事は必至だ。
もしかしたら「その懸念があるのだから、上に上申すればいい」と思うかもしれないが、そんな事が出来るほど、この国の風通しはよろしくない。
言ったところで話は通らず、その上「平民が貴族に偉そうに」と言われた後で無駄ないびりの対象になるのが関の山だ。
最初からそうなると分かっていて、わざわざそんな地雷は踏まない。
「そう言えば、知ってるか? あの方の婚約者だったバレリーノ様、グリント様の婚約者になるらしいぞ?」
「そうなのか? まぁ貴族の都合は分からんが、貴族だからそういう事もあるって事か……」
貴族でない彼等であっても、政略結婚という言葉くらいは知っていた。
「しかしそれで、グリント様は納得してるのか? あの人なら『アルドのおさがりだと?!』なんて怒りだしてもおかしくないが」
以前はそうでもなかったが、最近のグリントを思えばそんな風に疑いたくなる。
以前は「あまり仲良くはなさそう」という感じだったが、今やそれは「めっちゃ仲悪いじゃん!」に変わった。
事あるごとに大声でアルドを貶しているので、誰も目にも明らかなのだ。
しかしそんな懸念へも、「心配する必要はなさそうだ」という答えが返る。
「それがどうやら、『アイツよりも俺の方がバレリーノには相応しい!』って言ってるそうだ」
「え、つまりずっとバレリーノ様に思いを寄せてたと?」
「さぁそれはどうだろう? 色々と事情があるんじゃないか? 良く知らないけど」
そんな風に言いながら、アルドについて話をしていた時には誰もが止めていた食事の手を、みんな再び開始する。
彼らはみんな、まだ知らない。
これがこの国の窮地への最初の一歩である事を。
16
↓ ↓ ↓ 第二巻(続編)はこちら ↓ ↓ ↓
追放殿下は定住し、無自覚無双し始めました! 〜街暮らし冒険者の恩恵(ギフト)には、色んな使い方があってワクテカ〜
🦊更に可愛くなったクイナと世話焼き加速のアルドが待ってるよ!🦊
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