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歩き食いは超痛い編
第19話 街に着いたので、さっそく散策に出る事にした(2)
しおりを挟む街を歩けば、改めてこの国の人種の豊富さを実感する。
「ねぇアルド、あの人は?」
「エルフだな」
「あっちは?」
「ドワーフ」
「じゃぁあの人」
「あの人はお前と同じ獣人。っていうかそれは分かるだろ」
「えへへー」
「バレたか」みたいな顔をしながら俺を見上げてくるクイナに、俺もちょっと楽しくなって笑う。
数はそう多くないが、俺と同じ人族だってチラホラと混じっている。
しかし少数派の彼らが逆に虐げられているという事は無い。
ここはどうやら本当に共存が出来ているようだ。
少なくとも今のところは良い街である。
しばらくの間歩いていると、どこからともなくいい香りが漂ってきた。
これはアレだ、おそらく焼ける肉とタレの匂い。
「あれだな」
少し見回してその正体を突き止めれば、やはり出店屋台が立っていた。
掲げられたのぼりには、この辺一帯の国々の共通語で大きく『オーク肉の串焼き』と書かれている。
俺はニッと笑みを浮かべ、クイナに目を向けこう告げた。
「よしっ、行くぞクイナ!」
「えっ、うん?」
疑問が籠った声だったが、ちょっとテンションが上がってしまってペースアップした俺に彼女も一生懸命着いてきてくれる。
そうして俺達は人の往来の流れを斜めに横切って、その屋台の前まで抜けだした。
「おう、らっしゃい!」
俺達が客だと気が付いた店番の男が、俺達に良い笑顔を向けてくる。
俺が知っている、媚びを売る商売人の顔ではない。
もっと小ざっぱりとした、爽やかな笑顔である。
スキンヘッドで日に焼けた黒い肌。
結構なゴリマッチョだというのに、それでも「爽やかだ」という感想を抱けるのだから何だかとっても不思議だった。
その男にこう尋ねる。
「共通通貨は使えるかな?」
「あぁ勿論!」
「良かった、じゃぁ俺とこの子のとで二串ください」
「あいよ!」
そんなやり取りしていると、クイナが俺の手をクイクイッと引っ張ってくる。
「ねぇアルド、これ食べるの?」
「あぁ。……ぁ、聞くの忘れてたけど、お前オーク肉は食べれ……そうだな」
「うん、好きなの!」
だろうな、と思う。
だって彼女の耳やしっぽがとってもとっても嬉しそうだし、何より目がキラキラしている。
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