【完結】伯爵令嬢が効率主義の権化だったら。 〜ドレス汚し犯(侯爵子息)の行き着いた先〜

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兆し

第13話 準備と誠意をきちんと示せば(1)

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 方策を立てるのも比較的容易になる。
 それぞれに方策が立てば、後はそれを一つずつクリアしていく。
 その先に、大きな目標の達成がある。

 それが問題解決の最も効率的なプロセスだ。


 問題点を細分化する事も、それをちまちまとクリアしていく事も、地味で地道で面倒だろう。
 しかしそこをサボってしまえば、かえって問題解決に時間が掛かる。

 セシリアは『急がば回れ』という異国の教訓を、ゆっくりと確かな口調で彼に解いた。

 そしてその表情から「どうやら何とかこちらの言わんとすることを理解出来たらしい」と思えた所で、セシリアは3本目の指を突き立てた。

「次に覚えておいていただきたいのは、問題の解決には『一時的なもの』と『根本的なもの』があるという事、そしてそれらにはそれぞれ特徴があるという事です」

 言葉自体だけではなく、その特徴をしっかりと覚えておいた方が良い。
 セシリアはそう、彼に言う。

 どちらの方が解決策として良いかと言えば、それは間違いなく『根本的な解決』だろう。
 しかし。

「『根本的な解決』を講じれば、確かに問題は一気に解決します。しかしそれを成すには多くの時間と労力がかかる事が多いのです」

 一概には言えないが、問題点が大きければ大きいほど、その可能性は高くなる。
 何故ならば、面倒だから今まで誰もその解決策を行わず、故に問題が肥大化する事が往々にしてあるからだ。

「対して『一時的な解決』は、素早く成せる傾向にあります」

 だから皆、『一時的な解決』に手を伸ばしがちだ。
 しかしあくまでもそれは応急処置、問題の根本は蔓延ったままになっている。

 だから。

「大きな問題に遭遇した時は、まず先に『一時的な解決』策を講じ、その後で時間を掛けて『根本的な解決』を試みる。それが良いでしょう」

 そんなセシリアの声に、彼は「なるほど……?」と言いながら首を傾げた。

 一応返事はしているが、どう考えてもしっかり理解できていない。
 そう感じたセシリアはそんな彼に「解決策を考える時はまず先に応急処置をする。しかしその後できちんと恒久的な措置を取る。それを忘れないようにしておけば良いのです」と言ってやった。

 難しい理屈は、きっと肌身で感じないと本当に理解は出来ないだろう。
 しかしこの言葉を覚えておけば、例えばそういう事態に遭遇した時に「あぁ、これがあの時言っていたやつか」と、不意に思える。
 
 これはあくまでも助言なのだから、彼に与える影響値はきっとそれくらいで丁度良い。

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