【完結】伯爵令嬢が効率主義の権化だったら。 〜ドレス汚し犯(侯爵子息)の行き着いた先〜

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兆し

第3話 「知りたい」と思う事(1)

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 オルトガン伯爵家の子供達は社交界デビューまでは決して表には出ない。
 そしてそれは、セシリアも決して例外ではない。

 だから彼女は「社交界デビューしたての自分に関する情報なんて、そこまで出回っていなかったのではないか」と懸念したらしい。


 その辺の事情を全く知らなかったレガシーは、そう教えられて初めて「あぁそれでか」と納得した。

 情報集めの際、確かに社交界デビュー以前のセシリアに関する情報はレガシーの耳には全く聞こえてこなかった。
 
 しかしそれでも情報収集は十分だったと言って良いだろう。
 それこそ、聞き耳を立てながら人の間をすり抜けるだけで事足りるくらいに。


 そもそも子供の集まりにさえ入っていけない程あれこれ拗らせているレガシーだ。
 まさか大人達ばかりの居る社交場で自分から聞いて回るなんて事、出来る筈も無い。

 だからもしも『聞き耳素通り戦法』が使い物にならなかった場合は、仕方がなく情報収集を諦めなければならないところだったのだ。

(タイミング良くセシリア嬢の事ばかりを話題にしてくれて、本当にラッキーだった)

 そう思わずにはいられない。


 実の所、セシリアの話題は今や社交界の流行りになっている。
 だから聞こえてこない筈がないのだが、そんな事など周りとの交流もなく騒動を目撃もしていなかったレガシーには知る由も無い。

 だからだろう。

「大丈夫、君の事は色々と分かった」

 彼はホクホク顔で、そんな風に告げた。
 しかしそんな彼に、セシリアは新たな懸念を挟み込む。

「あぁ、アレのせいですね……しかしそれでは情報の取捨選択が面倒だったのでは?」

 噂というのは基本的に、尾ひれが付くものだ。
 その中から必要な情報だけを抜き出す事はひどく面倒な事だろう。

 彼女の主張はそんな感じだ。

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