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第四章:お披露目の日がやってきました。
第38話 王太子殿下のお言葉は、かなりズレた暴言ですね。
しおりを挟む謁見を終えた後、主催者である私達はとある二択を迫られます。
この場所で最後までパーティーに参加するか、それとも招待者に混じるか。
しかし今回は方々と今後より良い関係を築くためにこのパーティーを開いているのです。
となれば、混ざらない選択肢はありません。
幸いにも、謁見の際に蒔いた種はうまい具合に発芽した様です。
それはこちらを気にする方々の視線の多さを見れば分かります。
概ね予定通り、順調で何よりです。
それを証明するように、お客さまの方へと混ざった私とお父様はすぐにそれぞれ対応に追われました。
私は農業と交易関係。
お父様は街の景観や設備関係。
やっぱりこうして事前に明確な役割分担をしておいたのは、どうやら正解だったようです。
謁見でもそれとなく担当者を伝えていたお陰で、ちゃんとみなさん分担通りの話をしに来てくれます。
とはいえ私はまだ『交易の要』を示していません。
まだこれからひと仕掛け、皆さんに披露しなければ。
という訳で、一通り話して場が落ち着いてきたところで、理由をつけて一旦下がることにします。
が、この様に『仕掛け』を自分で解禁しようとした事が、おそらく相手に付け入る隙を与えてしまったのでしょう。
私はこの時、自分に忍び寄ってきているモノに全く気がついていませんでした。
「ふんっ、やはりすぐに人がはけたか。囲まれてたからって良い気になるなよ? みんな、単に物珍しいだけだからな。男爵家でありながら勝手に独立したお前達が」
そんな声を掛けられるまでは。
馬鹿にするようなその物言いに、私は思わずキョトンとしてしまいました。
だってそうでしょう。
意味が分かりません。
人が周りから居なくなったのは準備の為に私が一旦頭を告げたからです。
それに私、「今のところは上々だ」とは確かに思っていましたが、別に「良い気」になんてなっていません。
むしろこれからが正念場で気合を入れ直したい頃合いです。
つまり、彼の言う事はどれもが全て「そもそもズレてる」と言わざるを得ないでしょう。
ところで今私に告げられた、この暴言じみた言葉。
周りに丸聞こえです。
いえ、むしろ敢えてそうしたのでしょう。
彼はずっとそうでした。
目立ちたがりで、自分の上どころか対等さえ許さない。
全てを見下し、思い通りにならないものは見せしめ同然に周りに沢山の目がある場所で虐げて晒す。
それが私が彼の、元居た国の王太子その人の性質でしたから、きっと今回も同じような気持ちなのでしょう。
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