男爵令嬢が『無能』だなんて一体誰か言ったのか。 〜誰も無視できない小国を作りましょう。〜

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第二章:生産品を改革しましょう。

第11話 ルーイとアントニオは今日も仲良しのようですね。

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「ごめんなさいね。それでも『一定以上の水車を設置する場合、一つ設置するに当たって継続設置料として国に毎年一定額を納めければならない』なんて、流石に財布がしんどくて」
「分かってるさ、別に嫌がらせじゃないって事くらい。そのお陰で浮いた金は、全部俺らの生活維持に関わる他の所に回してくれてた訳だしな」

 それに、その規制がなくなった今、ちゃんと仕事をくれるんだしな。
 そう言ってくれた彼に、私は「そう言ってもらえて安心しました」と答えました。

 結局の所その規制は、税収の少ない私達の様なところからあの手この手で金を集める為の舞台装置の様なものだったのでしょう。
 その結果もっと領地が困窮し税収が減るという事にはまるで目も向けていませんでした。

 因みにそれは先代の国王が定めた法でしたが、先代に日和ってそれを撤廃しない現国王も同罪だと私は思います。


 まぁしかし、それはもう私達には関係のない事でしょう。

「今後は他にもお願いする事があると思います。お仕事が増えるでしょうが、よろしくお願いいたしますね?」
「あぁ任せろ!」

 そんな風に言い合って、互いに握手をし合います。
 すると丁度、扉がノックされました。

「お嬢様、招集に応じて農業責任者の方がお一人来られました」
「分かりました、入れてください」

 私のそんな声を受けて、扉がゆっくりと開きます。
 そして。

「参上しました」
「よく来てくれました、アントニオ」

 この国で一番近い農地の責任者・アントニオが入ってきました。

 彼はすぐさま私の横にもう一人来客がある事に気が付きます。

「ルーイさん、来ていたんですね」
「おぅ、お嬢さんに呼ばれてな。今話を聞いてた所だ。な? お嬢さん」
「はい」

 聞かれたので、私もにっこり笑って答えます。
 するとアントニオは、思わずと行った感じで顔を顰めてしまいました。

「ルーイさん……お嬢様は曲がりなりにもこの国の王女です。そんな口の聞き方は――」
「何言ってんだ、前だって男爵令嬢っていうれっきとした貴族だったろうが」
「だからその時も、ちゃんと注意したじゃないですか。それに、王女になられたのですから尚更です」

 そんな事を言い合う二人に、私は思わず笑ってしまいます。

 この二人は、以前私がお願いした仕事で知り合った仲です。
 が、サッパリとしていてあまり礼儀に頓着の無いルーイと真面目なアントニオはどうやら性格的に合わないらしく、特にこの敬語問題では顔を合わせる度にこの通りです。

 しかし「喧嘩するほど仲が良い」とも言います。
 別にこの二人が本当に仲が悪いとは思いません。
 むしろ「仲良しですねぇ」とさえ思います。
 が、今回は一応用事があって呼び出しています。
 話を元に戻しましょう。

「とりあえずその件は横に置いておいて、話を進めて良いでしょうか?」
「あぁすみません、どうぞお嬢様」
「話してくれ」

 そんな返事を貰いましたので、改めて今回の主旨を説明します。

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