【完結】伯爵子息・ワルターは、国を想ってほくそ笑む。

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第2話 王弟殿下の嫌味に触れて(2)

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 そんな事をワルターが考えている間にも、今度は王族の方が同じく口上を述べていく。

「レグルム、今年もよく来たな。この社交の場で貴族と顔を繋ぎ、他家と連携してより良い領地経営をする機会としてくれ。――ワルター、お前をオルトガン伯爵家の子息として承認する。貴殿がこの国の発展の礎となる事を願っている」

 こちらの言葉も、父親の時と同じでスラスラと口から出ていった。
 しかしそこには全くと言っていいほど感情が乗っておらず、何だかとても事務的な響きだった。

 否、おそらく真実事務的なのだろう。
 彼らが発した言葉たただの言葉で、取り繕う事さえ知らない響きを持っていた。

 つまりそれは、全くそうは思っていないという事で。

(本当に横柄なヤツ等だな)

 国の発展を本気で願えない王など、どれほどか。
 そんな風に思わずワルターは独り言ちる。



 途切れた声が「儀式はこれで終わりだ」と暗に二人に告げていた。
 その空気感に、ワルターは思わずホッとする。

 下で色々言われてたから、嫌な予感がしていたのだが。

(どうやら杞憂に終わりそうだ)

 そう思いながら父に倣って最敬礼から直ろうとした、その時だった。

「おいレグルム。今日はさぞかし寂しい事だろうな。お前のただ一人の友・グーメルンも、飢饉のお陰で来てないし、お前の話し相手を好き好んでしようと思う奴なんぞ、他には誰もおらんのだろう?」

 嘲笑を色濃く孕んだそんな声が投げられたのは。


 ――あぁ、これが例のヤツか。
 この時のワルターの心情は、正にコレだった。

 滞りなく終わらなかった事に対する残念半分、納得半分。
 そんな心境の仲、ワルターは直りかけた中途半端な体制のまま父の出方を見る事にする。

 すると、彼はまたスッと最敬礼の姿勢に戻ってみせた。


 先程は「あんなのに一々付き合っていたら幾らあっても時間が足りない」というような事を言っていたが、流石にあからさまな態度で王族を邪険にするわけにもいかない。
 そんな父の思考が読めたので、ワルターもそれに従う。

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●この作品の本編(第2部)は、こちらから。
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セシリア(10歳)が、社交界デビューをきっかけに遭遇した様々な思惑と面倒事を『効率的』に解決していくウィニングストーリー。

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