婚活したい魔王さま(コブつき)を、わたしが勝手にぷろでゅーす! ~不幸を望まれた人質幼女が、魔王国の宝になるまで~

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第二章 第一節:王さまに会いに行ってみる

第6話 食べられちゃう?!(2)

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 部屋に案内されていた時は、案内人の足が速くて遅れないようにするので精いっぱいだったから、周りを見る余裕なんてまったくなかったけど、こうして改めて廊下を見てみると、人間の国のお城とは全然違っておもしろい。

 マルッとしてツルンとした壺や置物、明るい色を使った絵が飾られていた人間の国のお城とは違い、このお城にはまずトゲトゲギザギザとした像や、暗い色の絵が多い。

 まるですべてがわたしを怖がらせようとしているみたい。
 でも大丈夫。お母さまがたまにしていた『血のお化粧』や『ボロボロのお肌に見せるお化粧』の方が、この廊下よりも怖かった。

 むしろ楽しいことが大好きなお母さまは、よくそれでわたしや使用人たちを驚かせて遊んでたっけ。そう思い出せば、なんだかお腹の辺りがホンワリと温かくなってきた。

 よく見たら、わたしを見下ろしてきている像も絵も、わたしのことを見守ってくれているような気がしてきた。
 見守ってくれるのはとても優しいことなんだって、お母さまもよく言っていた。逆に心強くまでなってきて、歩幅も大きくトコトコと歩く。


 すれ違う人たちはたくさんいたけど、誰もわたしには気がつかない。理由は多分、誰も下を気にしていないからだ。
 廊下を歩く人たちは、みんな体がとても大きい。きっとみんな大きいから、わざわざ足元を気にする必要がないんだろう。
 そのお陰で、わたしはすれ違う人たちを遠慮せずに観察できる。

 魔族には、色んな姿の人たちがいるみたい。王さまみたいに人型に角がある人もいれば、宰相さまみたいにモフモフな耳が生えている人もいる。
 たまに全身獣の姿の人もいて、ちゃんとお洋服を着て二本足で歩いてるのが、なんだかちょっと可愛らしい。中には肌が青や緑や真っ赤などのカラフルな人もいて、見ていると楽しくなってくる……と考えて、ハッと我に返った。

 そうだった! わたしは王さまに会いたいんだった!!

 忘れていた目的を思い出し、プルプルと首を横に振る。楽しさを一度頭の外に追い出して、両手を胸の前でギュッと握りながら「よし行こう!」と自分の心に言う。
 でも、ここで気がついた。

 あれ? どこに行けば、王さまに会えるんだっけ……。

 王さまと会った部屋なんて、ぜんぜん覚えていなかった。
 どうしよう。誰かに王さまがどこにいるか聞く? でもみんな、忙しそうに――。
 
「おいコラてめぇ!」

 突然聞こえた太い怒号に、思わず肩がビクッとなった。

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