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第11話 『歴史狂い』の歴史的見地と確固たる意思(1)
しおりを挟むしかしどうやら違うらしい。
そういえばミアが言っていた。
彼には彼が女嫌いになる原因があったのだと。
「ごめんなさい」
心から、そんな偏見を持った自分を後悔した。
たしかに彼の態度に煽られて出た言葉ではあったけど、だからといって自分が言った言葉が正当化される訳ではない。
そんな私に彼も少し毒気を抜かれたようで、一瞬「いや俺も」と言いかけて、ハッとし咳払いをする。
「そんな事はどうでもいい。それよりも開墾の件だ。お前の言にもし根拠があれば、その話は領地経営に加味する必要がある」
これは私に意見を求めているという事でいいのだろうか。
思わずキョトンとしてしまった私に、彼が苦い顔で「何だ」と聞いてくる。
「やはり根拠などはない戯言か」
「いえ、根拠というか、歴史を前例に懸念すべき点はあるとは思いますが」
「じゃあ何だ。俺が机仕事を苦手にしているから領地の事も適当にやっていると思ったか。だとしたら完全な的外れだ。俺はこの土地を守りたい。隣国と隣り合っている立地上そのための最大の手段が剣なのであり、領地経営も領民の生活を守る事には変わりない。上手い・下手は置いておいて、関心がないわけはない」
そんな事は何も言っていないのだけど……もしかして先程の私のように、彼もまた机仕事や自身が剣に傾倒している事について、周りからそのような事を言われた事があるのだろうか。
だとしたら私たちは意外と、近しいところにいるのかもしれない。
何だか急に親近感を感じてしまって、そんな自分の変わりようをおかしく思い思わずクスリと笑ってしまった。
彼に「何だ」と目ね付けられたが「いえ何でも」と答えた後に、彼の質問に答える形で彼に改めて開墾に関する危険性を語る。
「七十年前、ある領地で大規模な開墾をした結果その土地が地すべりを起こして近隣の村々が悉く土砂に呑み込まれたという記録があります」
「ある土地とはどこだ。そこまで言わなければ信憑性に欠ける」
そう言われて、逡巡する。
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