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第7話 『変な女』はアクションか ~ケルビン視点~(1)
しおりを挟む最初から片鱗はあった。
来てすぐに俺が「俺の生活に口を出すな」と言った時、あいつは何故か礼を述べてきたのだ。
その時から「何だこの女」とは内心思っていたが、まさかここまで変な女だとは流石に思いもしなかった。
今日の朝、いつも通り早く起きて剣を振って軽く汗を流したた俺は、食堂へと向かった。
俺に跡目を継いだ後、水を得た魚のように父は母を連れて方々を旅するようになった。
最早屋敷にいる事の方が少ない。
だから必然的に、食卓に複数人分の銀食器が用意されている光景を見る頻度も少ない。
にも拘らずテーブルの上に二セットの銀食器が整えられている光景に、思わず口がへの字に曲がる。
昼は執務室で、夜は自室で食事を摂ることにしているが、朝は食堂に行くのが俺の食事の通例だ。
本当は他人と食事など取っても何一つ楽しくなどないのだが、他人がいるからと自らのルーティーンを変えるというのも嫌だったのだ。
しかしこの日は、そんな自分の強情を少し後悔する事になった。
……テーブルに座って少し経っても、もう一つの席はまだ空いたままだった。
食事が運ばれてこないのは、使用人の「一緒に食べるだろう」という配慮に違いない。
しかし俺がいつまでも待つ筋合いもなければ、迎えに行く義理もない。
この後はいつも通り、執務をする予定になっている。
時間が押す。
領主としての義務は果たさねばならない以上、そのしわ寄せは夕方からの剣を振る時間にくるのが必至だ。
そう思えば、イライラしてきた。
何故来ないのか。
いつ来るのか。
もう一人で食べてしまおう。
そんな気持ちになった時だった。
ちょうど食堂の扉の外を、見覚えのあるメイドがスッと通ったのは。
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