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第4話 嬉しい誤算。好きにできる!(3)
しおりを挟む呼び止めてしまって申し訳ないけど、一つだけ、どうしても気にすべき事があった。
「先程『私がすべき事はここにはない』と仰いましたが」
「何だ不服か」
「いえ、とんでもない!」
慌てて否定し、本題を告げる。
「すべき事がないという事は、好きに過ごしていいという事ですよね?」
「勝手に好きにすればいい」
「では、屋敷内にもし古書や古い文献があれば、それを読んでも?」
「執務室には絶対に入るな。それ以外の場所にあるものなら、何でも選んで読めばいい」
興味なさげに言った彼の言葉に、私はウキウキしながら言った。
「ありがとうございます!」
彼は、私を何やら変なものでも見たかのような目で一瞥した後、今度こそ部屋から出て行った。
室内は、私とミアと執事の彼――ジョンだけになった。
「マリーリーフ様、馬車に積んである荷物はメイドたちにこの部屋に運ばせます。お疲れでしたら夕食までの間、こちらでおくつろぎいただければと思いますが」
部屋に掛けてある時計を見ると、時刻は午後二時を過ぎたところ。
この屋敷の夕食の正確な時間はまだ知らないけど、ひと眠りできそうな時間はあるだろう。
が。
「よろしければ、屋敷内を案内してもらえませんか? 色々と見て回りたいのです」
先程は、ケルビン様についていくのに精いっぱいで、屋敷内をよく見る暇もなかった。
外から見た感じだとかなり広い屋敷だったから、探検できる場所も多いだろう。
それはつまり、それだけノースビークの、いや、この屋敷の歴史を知る事ができる機会が多いという事でもある。
屋敷の中の何気ない物から歴史を感じる事ができるし、何なら古書の類も探したい。
そんな思惑を抱えた私のお願いに、彼は快く応じてくれた。
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