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エピローグ

第1話 エドガーにはきちんとお灸が据えられました

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 兄妹でのお茶会を終えてから経過する事、約5か月。

 学校が始まって少し経ったある日、セシリアは久しぶりに学生寮から自宅へと帰宅したキリルから、こんな伝言を伝えられた。

「エドガー様が大人しくなったって、ケントが喜んでたよ。『セシリア嬢にお礼を言っておいて』だってさ」

 そんな言葉で始まったキリルからの説明を聞いて分かったことは、どうやらダリアがエドガーを容赦なく諫めたらしいという事だった。

 その話を聞いて、セシリアは「お灸を据える事には、どうやら成功した様だ」とほくそ笑む。



 因みにダリアはというと、どうやら例の噂の封じ込めを水際で成功させたらしい。

「あぁそういえば、何故か私にお礼を言ってきましたよ、あの方」

とはマリーシアの言だ。


 確かにあの時セシリアは、それらの噂の情報源は兄姉であると彼女に言った。
 きっとそれを覚えていたのだろう。
 
 そして事実、あの噂集めに関するマリーシアの助力はとても大きなものでもあったのだから、お礼を言われる筋合いもある。

 セシリアがそう答えると、マリーシアは少し可笑しそうに笑いながらこう言った。

「でもあの方、普段全く交流の無い私の所にわざわざやって来て、お礼だけを言って去っていったのよ?」

 どうやらその時の彼女が頑なな様子だったのが、マリーシアの笑いのツボを連打したらしい。

 それの一体どこが可笑しいのかについてはその場に居なかったためセシリアにはあまりよく分からないが。

「しかし、今回唯一の被害者だろう彼女がマリーお姉様にお礼を言うというシュチュエーションは、なかなか面白くはありますね」

 そう言って、セシリアも「フフフッ」と笑う。

 今回オルトガン3兄妹がダリア関係の噂話を集めた理由は、何も彼女の為ではない。

 こちらはただ、セシリアのドレスが汚れる原因となったエドガーを懲らしめる為にやったのだ。
 ダリアの噂を集めたのは、たまたまそのための手段にちょうど良かったからでしかない。
 つまり今回ダリアは、オルトガンの3兄妹とエドガーとの間の確執に巻き込まれただけとも言えるのだ。
 そんな相手から礼を言われるのは、実におかしな話である。

 それでも彼女が謝ってきたのは、「それでも感謝はすべき」という考えの元だろうか。

(……否、見たところダリア様は気位が高い。それは無いだろう。という事は)

 そうなれば答えは一つしかない。

 こちらのそういった裏側に、彼女は気づかなかったのだ。

(なるほど。この件を抑えたんだから確かに社交手腕はあるんだろうけど、まだ私たちの敵にはなり得ない)

 セシリアはそう独り言ちながら、自分の脳内脳内データベースをまたひとつ更新させたのだった。

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