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第一章:初めての社交で暗躍する。
第8話 深まる疑念と次なる一手(1)
しおりを挟む夫人からの視線を受けて、セシリアは自分のミスをすぐさま悟った。
数秒間の沈黙から始まった社交の最初から、彼女の瞳には『相手は子供だ』という甘さが無かったのだ。
(否、最初からちょっと警戒はされていたみたいだけど)
それでも先のあの一言が原因でそれが深まったのは確かである。
できれば、そのアドバンテージは有効に使いたかったのだが、過ぎてしまったものは仕方がない。
ならば。
(この状況も加味して作戦を練るしかない)
そう思いながら、セシリアは自身の脳内でまた自身が成したい事を成すための道筋を立てはじめる。
すると、そんなセシリアの内情を知ってか知らずか、夫人がこんな話を振ってきた。
「……『話題のマト』と言えば、今日はモンテガーノ侯爵とその御子息も来られていますけれど、セシリア様はもうお会いになられまして?」
その言葉に、コミュニティー内がまるで木の葉が風に撫でられた時の様にサワリと揺れた。
その事実は、誰もが気になっていた事に直球で切り込んだ夫人に彼女達ですら驚いている証拠だった。
そしてセシリアも、勿論驚いた。
しかしそんな事はお首にも出さずにサラリと応じる。
「はい、先程」
セシリアが微塵も動じずに笑顔でそう答えられたのは、勿論彼女の社交の仮面の出来が良かった事もあるが、遠回しにしろ正面からにしろ「その手の話題にはなるだろう」と予測していたからである。
だからセシリアとしては「予定よりは早いけど、まぁ良い。計画を実行に移そう」と思い直しただけで済んだのだ。
そして、そんなセシリアの声に夫人は「うふふ」と優雅に笑う。
「そう。最近はその噂で持ちきりですからね。その噂の真実というものを、是非とも当事者の口から聞いてみたいものです」
その噂というのが「セシリアのドレス汚しに関するクラウンとの噂の事だ」というのは、誰の目にも明らかだった。
それは和やかな声を被っていて、その実非常に挑発的な言葉だった。
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