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4.元婚約者との対決
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「僕からアスムス子爵家へ婚約の打診をしておくから、その後、マリオン自身でアスムス子爵夫妻に婚約の申込みをして、正式に許可を貰うんだ。わかったな」
家長らしく威厳を示しながらディルクがそう言うと、マリオンの顔が曇った。
「僕はまだ十三歳だけど、アスムス子爵夫妻は婚約を許してくれるでしょうか?」
「大丈夫だ。誠実にお願いするんだ。そして、どれだけエルゼ嬢のことを愛しているか熱く語れ。そうすればきっと許してくれるはずだ」
ディルクは自信ありげだが、ヴァルターは顔をしかめながら首を振る。
「十三歳のマリオンが愛を語っても、不審がられるだけだ。政略的な婚約だと事務的にお願いした方が円滑に進むと思うけどね。幸い司法局長のウェラー卿の口添えもあるし、アスムス卿は将軍である兄上からの申込みを断ったりしないと思うよ」
「夢がなさすぎる。婚約するのは、お互いが半身だと感じるほど想い合っているからだろう? それをエルゼ嬢のご両親に知ってもらわなければ」
冷めたヴァルターの物言いに、ディルクは口を尖らせて抗議した。
「貴族の婚約なんて、そんな男女の方が少ないと思うよ。年齢はともかく、家の格的には何の問題もないのだから、そう難しく考えなくてもいいよ」
ディルクの抗議を冷静にかわしたヴァルターは、マリオンとエルゼに微笑んだ。
両親に愛を語るのはかなり恥ずかしいと思いながらも、将軍に逆らうこともできずに黙っていたエルゼは、ヴァルターの言葉を聞いて安心した。
「うん、ヴァルター兄様の言う通りにするよ。何だかうまくいきそうな気がする」
ディルクをひたすら敬愛しているマリオンだが、やはり社交界のことはヴァルターの方が頼りになる。
「マリオン、少し遅くなってしまったから、エルゼさんを家まで送って差し上げなさい。エルゼさん、そのドレスはマリオンからの贈り物とさせていただきますので、そのままでお帰りください。着ていらしたドレスは後日届けさせますから」
それは母の気遣いだった。
犬のギーナの散歩中に暴漢に襲われたエルゼは、危機一髪のところをマリオンに助けられ、そのままハルフォーフ家に連れて来られたのだった。そのため、エルゼのドレスは土で汚れて少し破れていた。
「お心遣いありがとうございます。家族も心配していると思いますので、本日はこのまま帰らせていただきます」
ハルフォーフ家の面々に挨拶をしたエルゼは、マリオンに手を引かれてハルフォーフ邸を後にした。
その頃、ウェラー公爵邸を退出したヘルムートはアスムス子爵邸へと向かっていた。
伯爵家の嫡男であるヘルムートに釣り合う結婚適齢期の未婚女性は殆ど残っていない。叔父のロビンが妻殺しの罪に問われそうなこともあり、新たな婚約者を見つけるのは困難だと判断した彼は、再びエルゼに婚約を申し込むつもりでいた。
アマーリアは若くて美しいが、少々気が強く疲れてしまうと感じるヘルムートは、地味であるが従順なエルゼで妥協してもいいかかと思い始めていた。
それはエルゼにとっても悪い話ではないと彼は考えている。五歳も年下の子爵、しかも荒れた土地の領主となるような少年と比べることもなく、エルゼは自分を選ぶはずだとヘルムートは確信していた。
アスムス子爵邸に着いたヘルムートは、どこかそっけない執事からエルゼの不在を知らされた。執事の態度を不快に感じながらも、エルゼが留守であるのは本当らしいので、ヘルムートは素直に帰ることにした。
まだエルゼと婚約もしていない今、子爵家の使用人と揉めるのは得策ではない。無事に婚約が調った暁には無礼な執事を叱りつけてやる。そんな想像をしてヘルムートは溜飲を下げる。
ヘルムートが門を出ようとした時、立派な馬車がやって来るのが見えた。
「ハルフォーフ家の馬車?」
ヘルムートの馬車の隣に止まった馬車にはハルフォーフ家の紋章が掲げられていた。
金髪碧眼の天使のようなマリオンに手を引かれて、紫のドレスをまとった美女が馬車から降りてくる。上品な美しさの中にそこはかとない色気が漂う特上の美女の姿を、ヘルムートは口を開けて眺めていた。
ヘルムートは美少女も好きだが、美女にも弱い。
「あの、美しいお方」
ヘルムートは思わずエルゼに声をかけた。
エルゼはヘルムートを一目見るなり不思議そうに首を傾げた。マリオンは思い切りヘルムートを睨んでいる。
「ヘルムート様ではございませんか? 父に何か用なのですか?」
エルゼは努めて冷静に聞こえるように返事をした。そんなエルゼの手をマリオンが握りしめている。
「貴女は?」
ヘルムートも同じように首を傾げている。アスムス子爵の娘はエルゼ一人のはずである。
「まぁ、元婚約者の顔も忘れてしまったのですね。本当に冷たいお方。私もさっさと忘れることにいたします」
興味がなさそうにヘルムートから目線を外したエルゼは、マリオンを促して玄関へと向かった。
「待ってくれ、本当にエルゼなのか? 随分と美しくなったんだな。私が悪かった。謝るから、もう一度婚約を考えてくれないか?」
エルゼを追いながら、婚約を求めるヘルムート。
「ご冗談を。ヘルムート様はウェラー公爵令嬢と婚約なさったのでしょう? 私はこちらのマリオンさんと婚約することに決めましたので。それではごきげんよう」
エルゼは理解不能なことを言い出すヘルムートを残してさっさと歩き出す。マリオンはそんなエルゼの様子が嬉しくて、神々しいほどの笑顔を見せていた。
「ちょっと待ってくれ! ウェラー公爵令嬢との婚約は解消した。だから、私には婚約者はいない」
「私にはもう関係ないことです」
エルゼは歩みを止めない。
「君は本気でそんな子どもと結婚するつもりなのか! いくら嫁の貰い手がないからといって、正気とは思えない」
「僕はもう十三歳だ! 子どもではない」
マリオンは思わず叫び出す。エルゼを捨てたヘルムートだけには子ども扱いされたくない。彼女を傷つけた男には何があっても負けたくなかった。マリオンもまたハルフォーフ家の一員である。負けることなど我慢できない。
「マリオンさんは確かに年下ですが、私を暴漢から救ってくれた勇敢な騎士様で、私にとっては英雄に他なりません。そんな彼と結婚したいと思うのは当然だと考えております」
エルゼの言葉はマリオンの不安な気持ちを落ち着かせるには十分だった。
「今はいいかもしれないが、五歳も年上の妻なんてすぐに飽きられて捨てられてしまうぞ。その子の容姿なら、二十歳にもなればエルゼより若く美しい女に言い寄られるようになる。その時にまだ愛されていると思えるのか?」
ヘルムートの言葉にエルゼの顔が曇る。今でもとんでもなく可愛くて強いマリオンは、成長すればどれほど素敵になるのだろうか。エルゼは想像もできない。
「僕はエルゼさんを捨てたりしない! おまえとは違うんだ!」
年など関係ないとマリオンは思っている。半年間殆ど毎日会って、エルゼの優しさに心惹かれた。年を重ねてもエルゼの優しさが変わるとは思えない。そして、自分の想いも変わらないだろう。
「どなたと結婚しても、結婚後に旦那様が心変わりすることはあります。それは、ヘルムート様でも同じでしょう? でも、マリオンさんはたとえ他の方を好きになったとしても、私に対して誠実であろうとしてくれるはずです。いきなり私を捨てたりしないでしょう。貴方とは違います。父に用がないのであればどうかお引取りください」
エルゼは控えめで穏やかな女性であるが、やはり、ヘルムートの不実さは許せないと思っている。マリオンの手の暖かさと、マリオンの母親が与えてくれた美しい容姿がエルゼに勇気を与えて、ヘルムートをきっぱりと拒絶することができた。
ヘルムートは呆然とその場に立ち尽くしていた。おとなしいエルゼならば、婚約してやると言えば嬉しそうに頷くと考えていた。まさか、反論されるとは思ってもいなかった。
気高い華のように貴婦人然としたエルゼ。ヘルムートはその背中を黙って見送るしかない。
「エルゼさん、僕は心変わりなんてしないから。一生貴女を愛すことを誓います」
頬を染めて恥ずかしそうに、それでもきっぱりと言い切るマリオンのことをエルゼはとても愛らしいと思う。
「ありがとうございます。とても嬉しいです。マリオンさんが望む限り、私も良き妻であり続けることを誓います」
それはエルゼの覚悟の言葉。将来マリオンが他の人を愛したのならば、黙って身を引くつもりでいる。それまではマリオンを精一杯支えたいと思っている。
「僕の心は変わらないけど、兄上みたいにごつい大男になっても、エルゼさんは僕を嫌いにならない?」
次男のツェーザルは大柄で厳つい。マリオンは父とよく似たツェーザルの容姿に憧れているが、女性に恐れられているのも知っている。
「もちろんです」
そう言って微笑むエルゼだったが、もう少しの間その天使のような可愛らしさでいてほしいと願っていた。
家長らしく威厳を示しながらディルクがそう言うと、マリオンの顔が曇った。
「僕はまだ十三歳だけど、アスムス子爵夫妻は婚約を許してくれるでしょうか?」
「大丈夫だ。誠実にお願いするんだ。そして、どれだけエルゼ嬢のことを愛しているか熱く語れ。そうすればきっと許してくれるはずだ」
ディルクは自信ありげだが、ヴァルターは顔をしかめながら首を振る。
「十三歳のマリオンが愛を語っても、不審がられるだけだ。政略的な婚約だと事務的にお願いした方が円滑に進むと思うけどね。幸い司法局長のウェラー卿の口添えもあるし、アスムス卿は将軍である兄上からの申込みを断ったりしないと思うよ」
「夢がなさすぎる。婚約するのは、お互いが半身だと感じるほど想い合っているからだろう? それをエルゼ嬢のご両親に知ってもらわなければ」
冷めたヴァルターの物言いに、ディルクは口を尖らせて抗議した。
「貴族の婚約なんて、そんな男女の方が少ないと思うよ。年齢はともかく、家の格的には何の問題もないのだから、そう難しく考えなくてもいいよ」
ディルクの抗議を冷静にかわしたヴァルターは、マリオンとエルゼに微笑んだ。
両親に愛を語るのはかなり恥ずかしいと思いながらも、将軍に逆らうこともできずに黙っていたエルゼは、ヴァルターの言葉を聞いて安心した。
「うん、ヴァルター兄様の言う通りにするよ。何だかうまくいきそうな気がする」
ディルクをひたすら敬愛しているマリオンだが、やはり社交界のことはヴァルターの方が頼りになる。
「マリオン、少し遅くなってしまったから、エルゼさんを家まで送って差し上げなさい。エルゼさん、そのドレスはマリオンからの贈り物とさせていただきますので、そのままでお帰りください。着ていらしたドレスは後日届けさせますから」
それは母の気遣いだった。
犬のギーナの散歩中に暴漢に襲われたエルゼは、危機一髪のところをマリオンに助けられ、そのままハルフォーフ家に連れて来られたのだった。そのため、エルゼのドレスは土で汚れて少し破れていた。
「お心遣いありがとうございます。家族も心配していると思いますので、本日はこのまま帰らせていただきます」
ハルフォーフ家の面々に挨拶をしたエルゼは、マリオンに手を引かれてハルフォーフ邸を後にした。
その頃、ウェラー公爵邸を退出したヘルムートはアスムス子爵邸へと向かっていた。
伯爵家の嫡男であるヘルムートに釣り合う結婚適齢期の未婚女性は殆ど残っていない。叔父のロビンが妻殺しの罪に問われそうなこともあり、新たな婚約者を見つけるのは困難だと判断した彼は、再びエルゼに婚約を申し込むつもりでいた。
アマーリアは若くて美しいが、少々気が強く疲れてしまうと感じるヘルムートは、地味であるが従順なエルゼで妥協してもいいかかと思い始めていた。
それはエルゼにとっても悪い話ではないと彼は考えている。五歳も年下の子爵、しかも荒れた土地の領主となるような少年と比べることもなく、エルゼは自分を選ぶはずだとヘルムートは確信していた。
アスムス子爵邸に着いたヘルムートは、どこかそっけない執事からエルゼの不在を知らされた。執事の態度を不快に感じながらも、エルゼが留守であるのは本当らしいので、ヘルムートは素直に帰ることにした。
まだエルゼと婚約もしていない今、子爵家の使用人と揉めるのは得策ではない。無事に婚約が調った暁には無礼な執事を叱りつけてやる。そんな想像をしてヘルムートは溜飲を下げる。
ヘルムートが門を出ようとした時、立派な馬車がやって来るのが見えた。
「ハルフォーフ家の馬車?」
ヘルムートの馬車の隣に止まった馬車にはハルフォーフ家の紋章が掲げられていた。
金髪碧眼の天使のようなマリオンに手を引かれて、紫のドレスをまとった美女が馬車から降りてくる。上品な美しさの中にそこはかとない色気が漂う特上の美女の姿を、ヘルムートは口を開けて眺めていた。
ヘルムートは美少女も好きだが、美女にも弱い。
「あの、美しいお方」
ヘルムートは思わずエルゼに声をかけた。
エルゼはヘルムートを一目見るなり不思議そうに首を傾げた。マリオンは思い切りヘルムートを睨んでいる。
「ヘルムート様ではございませんか? 父に何か用なのですか?」
エルゼは努めて冷静に聞こえるように返事をした。そんなエルゼの手をマリオンが握りしめている。
「貴女は?」
ヘルムートも同じように首を傾げている。アスムス子爵の娘はエルゼ一人のはずである。
「まぁ、元婚約者の顔も忘れてしまったのですね。本当に冷たいお方。私もさっさと忘れることにいたします」
興味がなさそうにヘルムートから目線を外したエルゼは、マリオンを促して玄関へと向かった。
「待ってくれ、本当にエルゼなのか? 随分と美しくなったんだな。私が悪かった。謝るから、もう一度婚約を考えてくれないか?」
エルゼを追いながら、婚約を求めるヘルムート。
「ご冗談を。ヘルムート様はウェラー公爵令嬢と婚約なさったのでしょう? 私はこちらのマリオンさんと婚約することに決めましたので。それではごきげんよう」
エルゼは理解不能なことを言い出すヘルムートを残してさっさと歩き出す。マリオンはそんなエルゼの様子が嬉しくて、神々しいほどの笑顔を見せていた。
「ちょっと待ってくれ! ウェラー公爵令嬢との婚約は解消した。だから、私には婚約者はいない」
「私にはもう関係ないことです」
エルゼは歩みを止めない。
「君は本気でそんな子どもと結婚するつもりなのか! いくら嫁の貰い手がないからといって、正気とは思えない」
「僕はもう十三歳だ! 子どもではない」
マリオンは思わず叫び出す。エルゼを捨てたヘルムートだけには子ども扱いされたくない。彼女を傷つけた男には何があっても負けたくなかった。マリオンもまたハルフォーフ家の一員である。負けることなど我慢できない。
「マリオンさんは確かに年下ですが、私を暴漢から救ってくれた勇敢な騎士様で、私にとっては英雄に他なりません。そんな彼と結婚したいと思うのは当然だと考えております」
エルゼの言葉はマリオンの不安な気持ちを落ち着かせるには十分だった。
「今はいいかもしれないが、五歳も年上の妻なんてすぐに飽きられて捨てられてしまうぞ。その子の容姿なら、二十歳にもなればエルゼより若く美しい女に言い寄られるようになる。その時にまだ愛されていると思えるのか?」
ヘルムートの言葉にエルゼの顔が曇る。今でもとんでもなく可愛くて強いマリオンは、成長すればどれほど素敵になるのだろうか。エルゼは想像もできない。
「僕はエルゼさんを捨てたりしない! おまえとは違うんだ!」
年など関係ないとマリオンは思っている。半年間殆ど毎日会って、エルゼの優しさに心惹かれた。年を重ねてもエルゼの優しさが変わるとは思えない。そして、自分の想いも変わらないだろう。
「どなたと結婚しても、結婚後に旦那様が心変わりすることはあります。それは、ヘルムート様でも同じでしょう? でも、マリオンさんはたとえ他の方を好きになったとしても、私に対して誠実であろうとしてくれるはずです。いきなり私を捨てたりしないでしょう。貴方とは違います。父に用がないのであればどうかお引取りください」
エルゼは控えめで穏やかな女性であるが、やはり、ヘルムートの不実さは許せないと思っている。マリオンの手の暖かさと、マリオンの母親が与えてくれた美しい容姿がエルゼに勇気を与えて、ヘルムートをきっぱりと拒絶することができた。
ヘルムートは呆然とその場に立ち尽くしていた。おとなしいエルゼならば、婚約してやると言えば嬉しそうに頷くと考えていた。まさか、反論されるとは思ってもいなかった。
気高い華のように貴婦人然としたエルゼ。ヘルムートはその背中を黙って見送るしかない。
「エルゼさん、僕は心変わりなんてしないから。一生貴女を愛すことを誓います」
頬を染めて恥ずかしそうに、それでもきっぱりと言い切るマリオンのことをエルゼはとても愛らしいと思う。
「ありがとうございます。とても嬉しいです。マリオンさんが望む限り、私も良き妻であり続けることを誓います」
それはエルゼの覚悟の言葉。将来マリオンが他の人を愛したのならば、黙って身を引くつもりでいる。それまではマリオンを精一杯支えたいと思っている。
「僕の心は変わらないけど、兄上みたいにごつい大男になっても、エルゼさんは僕を嫌いにならない?」
次男のツェーザルは大柄で厳つい。マリオンは父とよく似たツェーザルの容姿に憧れているが、女性に恐れられているのも知っている。
「もちろんです」
そう言って微笑むエルゼだったが、もう少しの間その天使のような可愛らしさでいてほしいと願っていた。
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